稀勢 左おっつけ出た!「十分にいい仕上がりになった」

[ 2017年5月11日 05:30 ]

稽古する稀勢の里
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 3連覇が懸かる夏場所(14日初日、両国国技館)に向けて調整を続けている横綱・稀勢の里(30=田子ノ浦部屋)が臨戦態勢を整えた。10日は東京都墨田区の時津風部屋への出稽古で幕内・正代と15番取って全勝。これまでは左上腕付近の負傷により左おっつけを封印していたが、初日の4日前になって解禁した。手応えの内容で本場所出場の意向を示した。

 6日の横綱昇進披露宴の当日から始まった和製横綱の出稽古。部屋での稽古が中心だった稀勢の里にとって5日間連続で他の部屋に出向いたのは極めて異例だが、この日は大きな収穫を得た。

 「自分の中では十分にいい仕上がりになった。精神的には落ち着いている。これから何があるか分からないが、(優勝に向けて)自信を持って行ければ」

 左上腕部付近の負傷を抱えて土俵上での稽古を続けてきたが、ついに夏場所出場のメドが立った。正式な出場表明は11日になるが、納得の内容とあって稽古後の表情は明るかった。

 自信を得られたのは、自身の生命線ともいえる左からの攻めを出せたことに尽きる。稽古相手に指名した正代との14番目の相撲。がっちりとテーピング、サポーターで固定している左腕からおっつけを繰り出した。1メートル84、162キロの相手の体勢を崩して押し出し。最後の15番目には左をあてがってから押し出した。左おっつけについて聞かれると「だいぶいいと思う」と答えた。封印を解き、文字通り「手応え」をつかんだ。

 ここまでの稽古では左を差すことがあっても、おっつけは出せなかった。この日の序盤も左を固めて相手の右差しを封じていただけだった。稽古中に顔をしかめる場面もあり、正代も「左腕をかばっているのかなという感覚はあった」と感じていた。だが、封印を解いた左おっつけの威力は落ちていなかった。「右を差しにいったらおっつけで防がれた。半身にされてはね返された」と正代は脱帽した。

 不安材料と見られた9キロの体重増も、しっかりと腰が下りた立ち合いでは圧力に変わっていた。右上手を取れば危なげなく「状態がかなり上がっている」と出てくる言葉はプラス材料ばかりだった。3連覇に向けて、和製横綱の視界が開けてきた。

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2017年5月11日のニュース