稀勢 左からの攻め沈黙「痛みはない」も顔しかめ舌打ち

[ 2017年5月8日 05:30 ]

ぶつかり稽古で大栄翔(手前)を鍛える稀勢の里
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 大相撲夏場所(14日初日、両国国技館)で3連覇を狙う横綱・稀勢の里(30=田子ノ浦部屋)が7日、埼玉県草加市の追手風部屋へ出稽古した。3月の春場所で痛めた左上腕部付近はテーピングで固定し、平幕の大栄翔と15番取って14勝1敗。相手の当たりをしっかり受け止める一方で、時折つらそうな表情を浮かべるなど不安ものぞかせた。

 四股やすり足などの基本運動を終えた稀勢の里は、いったん稽古場の外に消えた。再び現れるとテーピング姿になっていた。左胸から左上腕の内側にかけて固定し、上腕部はぐるぐる巻きにしていた。テーピングをすることを「見苦しい」と捉えている横綱だが、関取衆との稽古ではそれが必要不可欠だった。

 前日は九重部屋への出稽古で、負傷後初めて関取と稽古を行った。2日連続の出稽古で相手に指名したのは、夏場所で自己最高位の東前頭3枚目に番付を上げてきた大栄翔。突き、押しが武器の23歳の激しい当たりを痛めている左胸で受け止めた。つかまえてしまえば力の差は歴然。約20分かけて15番取り、1敗しただけ。「昨日より今日がいい。またこれからだと思う」と前向きに捉えた。

 ただ、生命線ともいえる左からの攻めはほとんど見られなかった。左すくい投げで転がすことはあったが、左おっつけで相手の上体を起こす攻めは影を潜めた。「痛みはない。(感触は)いいんじゃないか」と言うものの、稽古中には顔をしかめ、舌打ちすることも。稽古を見た解説者の舞の海秀平氏は「左下手だけに頼ると苦しくなる。右上手を軸に攻めていく相撲に変わっていくのかと思う。(すぐに)完治するケガではない。様子を見ながら稽古を変えていくのでは」と話した。

 依然として不安は残るが、春巡業を休場した間に鍛えた下半身は安定感が増していた。稀勢の里は「いい状態で下半身が使えてきている。どんどん圧力を与えていけば、おのずと上半身はついていく」と考えている。

 8日から2日間は二所ノ関一門の連合稽古に参加する。この日は「できれば上位陣とやりたいけど様子を見て。焦らず」と話すにとどまった。三役クラスを相手にどれだけの相撲が取れるかは未知数。連合稽古の出来は夏場所の指標となる。

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2017年5月8日のニュース