ケンブリッジ追い風9秒98!公認条件下でも「出せる」確信

[ 2017年4月17日 05:30 ]

米フロリダ州競技会 ( 2017年4月15日 )

男子100メートル予選で、追い風参考記録ながら9秒98をマークしたケンブリッジ飛鳥(左)
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 陸上男子で昨年のリオデジャネイロ五輪400メートルリレー銀メダルのケンブリッジ飛鳥(23=ナイキ)が15日、米フロリダ州クレアモントで行われた競技会の100メートルに出場し、今季初戦となった予選で5・1メートルの追い風参考記録ながら9秒98をマークした。参考記録の日本人9秒台は、電気計時では15年3月に桐生祥秀(東洋大)が追い風3・3メートルで9秒87を出して以来2人目。今季からプロとして活動する23歳が正真正銘の9秒台に向け、幸先の良いシーズンのスタートを切った。

 温暖な米フロリダ州の田舎町で行われたのどかな雰囲気の競技会。追い風参考記録とはいえ、ケンブリッジが今季最初の100メートルを9秒98で駆け抜けた。5メートル超の強風が吹いた予選で走りに滑らかさを欠きつつも、日本選手では桐生に続いて2人目となる電気計時での大台突破。「9秒台が出たのは喜んでいい。そんなに速くは感じなかったし、状態が仕上がれば(公認される条件下でも)出せると思う」。単身で米国に乗り込み、海外レースへの転戦を始めた23歳はリラックスした様子で手応えを話した。

 追い風4・4メートルを受けた決勝はレース間隔が短かったこともあり、10秒08と落とし、3組に分かれたタイムレースで3組4着だった。オフに強化したスタートの反応がいまひとつで「うまくスピードに乗れなかったし、中盤から後半の加速が良くなかった。前半もスピードに乗れず、風が強すぎて動きがばらばらになった。全体的にレベルアップさせる必要を2本のレースで感じた」と課題も感じている。4月は米国であと2大会に出場予定で「もう少し前傾してスムーズに加速ができるようにしたい」と、完成度を高める。

 昨夏のリオデジャネイロ五輪では400メートルリレーのアンカーとして銀メダル獲得に貢献した。昨年末には「プロ転向」を表明。「これからの選手に、こういう道があるというのを示したい。失敗できない気持ちもある」と、より高い目標を掲げて競技に向き合っている。オフには筋力トレーニングに励み、体重は昨年より3キロ増の79キロにパワーアップを果たし、日本人初の9秒台についても「通過点ぐらいの気持ちでやりたい。ゴールではないです」と平然と話している。

 3年後の東京五輪を見据えた新シーズンの第一歩を踏み出したスプリンター。「まずは(8月のロンドン)世界選手権の参加標準(10秒12)を切って、9秒台を狙いたい。世界選手権の決勝に残りたい」と青写真を描いた。

 ▼日本陸連・伊東浩司強化委員長(10秒00の日本記録保持者)追い風は3メートルを超すと走りが制御できないもの。一般の方が台風の風に押されて走るのと同じ。(報道を見て)本人が切れはなかったと言っている中では今後のためにも良かった。次のレースでどんな走りをするか楽しみだ。

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