真央 3月リンクに姿見せず…予感はあった この潔さも彼女らしい

[ 2017年4月11日 08:40 ]

最後の大会となった昨年12月の全日本選手権フリーで華麗な演技を見せる浅田真央
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 【岡崎真氏が語る浅田真央】3月に入って「浅田がリンクに現れていない」と聞いて、予感はあった。世界選手権の結果、日本女子の出場枠が2となったことが、どこまで彼女の決断に影響したかは分からないが、この潔さも彼女らしいと感じている。もちろん、寂しさが一番なのだが。

 バンクーバー、ソチ五輪前には、彼女の演技のチェックに付き合った。率直に言えば、人気先行の選手もいた中で、彼女のように実力、結果も残し、さらに数字には表れない“華がある”存在は本当に数少ないはず。今もジュニア層の選手が「あこがれは浅田選手」という言葉をよく聞く。たとえ、試合で浅田の得点を超えたとしても。

 トリプルアクセルというアイデンティティーは確かにあったが、何より、リンクに立ったときの存在感、空気感は、他の選手とは一線を画すものがあったことが事実だろう。そして、フィギュアスケートという競技が、ジャンプなどの要素だけで順位が決まる競技ではないことから考えても、浅田は「リンクの天使」であったと、私は思う。

 結果的には高いレベルに達していたからこそ、過去の自分が“足かせ”になったのかもしれない。ただし、少女から大人の女性に変わる段階で、つねに世界のトップレベルで戦い続けられた彼女は、いわば奇跡的存在だった。バンクーバー五輪のショートプログラムとソチ五輪のフリーを同時に演じていれば、金メダルだっただろうなんて思いもわき起こるが、記録にも記憶にも残る選手だったことは間違いない。そして、私も含めて「もっと見ていたい」と思われる選手であったことが最高の賛辞になると思う。(ISUテクニカルスペシャリスト、プロコーチ)

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2017年4月11日のニュース