カーボーイズ自力初五輪 攻めて開催枠の長野以来20年ぶり

[ 2017年4月7日 05:30 ]

カーリング男子 世界選手権第5日 ( 2017年4月5日    カナダ・エドモントン )

カナダ戦でショットを放つSC軽井沢クの両角友(右)(AP)
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 日本代表のSC軽井沢クが来年の平昌冬季五輪出場を決めた。1次リーグが行われ、ロシアに12―4で快勝し、カナダには2―10で敗れたが、5勝4敗として8位以内が確定。4位だった昨年の大会との総合成績で五輪出場枠を獲得した。日本男子の出場は開催国枠だった1998年長野五輪以来20年ぶりで、自力で出場権を獲得したのは初めて。チーム競技での日本勢の平昌五輪出場決定はアイスホッケー女子、カーリング女子に続いて3例目となる。

 4勝3敗で迎えた1試合目のロシア戦は圧巻だった。セカンド山口が相手ストーンを次々と打ち散らすなど好ショットがつながり大量12点。攻めるカーリングを存分に披露し、サード清水は「(4得点の)1エンド目でチャンスをものにでき、主導権を握れた」と充実感をにじませた。続く強豪カナダ戦では2点しか奪えず完敗。主将のスキップ両角友は「練習がまだ足りなかった。収穫は実力の差を見せてもらったこと」と課題を挙げたが、昨年と今年の世界選手権の成績に応じて与えられる五輪ポイントの上位7枠に入ることが決定した。

 中学1年の2月。両角友は弟・公佑とともに長野五輪の会場にいた。当時は野球部でカーリングはまだ始めていなかったが準決勝進出を懸けた日本と米国のタイブレークを生観戦。「ああいうところで試合したら楽しそうだなという雰囲気を味わった。五輪に出たいというきっかけになった」。その後、13歳で競技を始めてからは世界選手権の録画映像にくぎ付けに。ストーンをハウス(円)内にためて大量得点を奪っていくカナダの強さに「このカーリングじゃないと世界で戦えない」と心酔。07年から組む今のメンバーで攻撃的スタイルを貫くことを誓った。国内ではハウス内の石を出し失点のリスクを減らす「守備的」傾向が強かった時代。山口は「入団の決め手の一つは異常というか普通じゃない作戦」と魅力を感じて加わったという。

 初出場した09年の世界選手権は12チーム中10位。翌年からは日本一を3年連続で逃すなどすぐに結果は出なかったが、花開いたのは前回ソチ五輪の最終予選敗退後。世界基準の攻めのカーリングを貫き世界選手権で14年から5位、6位、4位とメダルに手が届きそうな位置にたどり着いた。五輪出場を続け注目を浴びる女子の陰に隠れてきたが「男子も面白いと知ってもらえれば」と思いを抱いて精進してきた4人が日本男子の悲願を成就させた。

 ◆両角 公佑(もろずみ・こうすけ)1988年(昭63)7月27日、長野県軽井沢町生まれの28歳。小学6年から兄・友佑の影響で競技を始める。岩村田高1年のパシフィックジュニア選手権からSC軽井沢クに正式加入。国際武道大を経てタカサワマテリアルに勤務。リード。

 ◆山口 剛史(やまぐち・つよし)1984年(昭59)11月21日、北海道富良野町生まれの32歳。小学3年で競技を始める。富良野高でラグビー、青森大ではカヌーで全国出場。大学3年でSC軽井沢加入。卒業後、NPOのスポーツコミュニティー軽井沢クラブに入社。セカンド。

 ◆清水 徹郎(しみず・てつろう)1988年(昭63)2月10日、軽井沢町生まれの29歳。小学時代から父の影響で競技を始め、軽井沢高から進んだ駿河台大2年でユニバーシアードに出場。08年からSC軽井沢クに本格参加。駿河台大を経て現在は長岡鉄工に勤務。サード。

 ◆両角 友佑(もろずみ・ゆうすけ)1985年(昭60)1月16日、軽井沢町生まれの32歳。軽井沢中カーリング部で競技を始める。岩村田高から金沢大に進学後も競技を両立。卒業後、NPOのスポーツコミュニティー軽井沢クラブに入社。スキップ。

 ▽平昌五輪カーリング男子展望 10カ国が参加して行われるがカナダ、スウェーデン、ノルウェーが“世界3強”として金メダルを争う。世界ランク1位のカナダは五輪3連覇中で昨年世界選手権も制しており優勝候補筆頭。同ランク2位のスウェーデンは15年の同3位のノルウェーは14年の世界王者。以下、同ランクは4位・スコットランド(英国)、5位・米国、6位・デンマーク、7位・スイス、8位・中国、9位・日本と続くが日本カーリング協会関係者は「世界3強以外は実力が拮抗(きっこう)している」と説明。昨年世界選手権で4位に入った日本もメダル獲得の可能性はある。

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2017年4月7日のニュース