稀勢 痛すぎる1敗「左腕が動かない」主役暗転、休場の恐れも

[ 2017年3月25日 05:30 ]

大相撲春場所13日目 ( 2017年3月24日    エディオンアリーナ大阪 )

<大相撲春場所13日目>土俵下で左肩を抑え苦痛の表情の稀勢の里
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 新横綱が痛い黒星を喫した。初日から12連勝の横綱・稀勢の里は横綱・日馬富士に寄り倒され、初黒星となった。この一番で左胸付近を負傷。支度部屋に戻っても左腕を動かせずに痛がるなど深刻な状況で、救急車で大阪市内の病院に搬送された。出場するか否かは14日目の朝に判断する。大関・照ノ富士は横綱・鶴竜を寄り切り、1敗でトップに並んだ。関脇・高安と平幕・栃煌山はともに敗れて3敗。稀勢の里が休場した場合、照ノ富士が14日目の琴奨菊戦に勝てば11場所ぶり2度目の優勝が決まる。

 横綱初黒星の稀勢の里は、落下した土俵下でうずくまった。左腕を折り畳んだまま動かせず、苦もんの表情。珍しく声を上げて痛がり、支度部屋に戻ると会場に詰めていた医師の診察を受けた。風呂から上がると三角巾で左腕を固定。左肩から胸付近を氷で冷やし、救急車で大阪市内の病院に向かった。その間、報道陣には無言を貫いた。

 横綱となって初めての横綱戦は完敗だった。日馬富士に鋭く踏み込まれ、もろ差しを許した。右から小手に振ったあとに左から突き落としにいったが、寄り倒しで敗れた。土俵下の藤島審判長(元大関・武双山)は「稀勢の里は珍しく(立ち合いで)先に手を付いていた。日馬富士はスピードがあるので早くいきたいと思ったのだろうが、相手の間合いで当たられた」と12日目までとの違いを指摘。新横綱は懸命に粘ったが、左で突いたときに痛めた可能性もあり、大きな代償となった。

 支度部屋で診察した医師には「(左腕が)動かない。痛みがあって動かすのが怖い」と話した。その医師は「(肩が)外れている感じではない。骨が折れている感じでもない」と説明。会場では詳しい検査ができないため、大阪市内の病院で診察を受けた。稀勢の里は午後8時40分前に病院を出て、大阪市港区の田子ノ浦部屋宿舎に戻った。病院に足を運んだ師匠の田子ノ浦親方(元幕内・隆の鶴)は負傷の状況について「まだ場所中でもあるので」と明言を避けた。14日目に出場するかどうかについては「今日は様子を見て、明日相談して決めたい」とした。

 02年春場所の初土俵から90場所目。稀勢の里が休場したのは右足親指のじん帯を損傷した14年初場所千秋楽の1日だけ。2度目の休場となれば、15日制では大鵬、隆の里、貴乃花の3人しか達成していない新横綱優勝はなくなる。出場できたとしても、生命線である左からの攻めができなければ横綱・鶴竜相手に苦戦を強いられるのは必至だ。順風満帆に見えた新横綱場所が暗転した。

 ▼八角理事長(元横綱・北勝海)コメント 稀勢の里はどういう状況だろうか。軽傷であってほしい。日馬富士は素晴らしい立ち合いだった。

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