美帆 姉の協力で3つ目金!聖子に並んだ大会最多4個目メダル

[ 2017年2月24日 05:30 ]

冬季アジア大会第5日 ( 2017年2月23日    札幌 )

女子マススタート 序盤で飛び出す、優勝した高木美帆。直後に付くのは2位の佐藤綾乃
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 スピードスケートの女子マススタートで、高木美帆(22=日体大)が姉・菜那(24=日本電産サンキョー)の“おとり作戦”のおかげで金メダルを獲得した。佐藤綾乃(20=高崎健康福祉大)が銀。高木美は今大会で金3つ、銀1つとなり、橋本聖子らが持つ大会最多のメダル獲得数に肩を並べた。男子マススタートはウィリアムソン師円(21=日本電産サンキョー)が2位。男子1500メートルは小田卓朗(24=水戸開発計画研究所)が2位、近藤太郎(22=専大)が3位だった。

 チームジャパンの作戦が見事にはまり、高木美が3つ目の金メダルを手にした。まんまと後続の集団に1周近い差をつけて、佐藤とともにワンツー・フィニッシュ。ライバルを引きつけ、自らの優勝に貢献してくれた4位の姉からも「やったー!」と声を掛けられた。

 「作戦通りでした。狙い通りに金メダルを獲れたので日本のチーム力を出せた」

 狙い通りの展開で2月12日の世界距離別選手権を制した金ボルム(韓国)を封じ込めた。スタートから2周目。同選手権2位の姉が飛び出したが、実はおとりの役割だった。自身をマークしに来た金ボルムを背後に従えると徐々にスピードを緩め、インコースを空けた。すると3周目にすかさず高木美が佐藤を連れて意表を突くロングスパート。3位集団に下がった姉は、中盤以降も緩急をつけた巧みなスケーティングでライバルにスパートを許さなかった。

 1年後の平昌(ピョンチャン)五輪で新種目に採用されたマススタートは、チーム戦略が結果に大きく影響する。14年ソチ五輪後にオランダから日本に招へいされたヨハン・デビット中長距離コーチは「どの試合でも分析してどうすれば勝てるかを話している」と説明。前夜のミーティングで“おとり作戦”を取るように伝え、それを3人が華麗に遂行した。

 2週間前の世界距離別選手権では、高木美が集団を引っ張り最後の1周で姉に先頭を譲った。結果は姉が2位で、転倒した高木美は21位だった。この日も韓国勢などは姉を警戒してきたが、それを逆手に取り姉が2周目だけ先頭に立ち、後続を引きつけた。姉は「おとりになって2人を生かした。金ボルム選手が自分をマークしてくれたから作戦がうまくいった」と誇らしげだった。

 これで高木美は1500メートル、3000メートル、マススタートで3冠を達成。1000メートルの銀を加えると今大会4つ目のメダル獲得で、橋本聖子らが持つ大会最多記録に肩を並べた。「全て金メダルという目標は達成できなかったけど、1500と3000では少し納得できる滑りができた」。日本が誇るオールラウンダーが、本番に向け手応えを得た。

 ▽マススタート 出場選手全員が一斉スタートする方式で男女ともリンクを16周する。順位は(1)ポイント(2)フィニッシュ順で決まる。4、8、12周後時に計算される3回の中間スプリントではそれぞれ1位5点、2位3点、3位1点を得る。最終スプリントでは1位60点、2位40点、3位20点。つまり最終周回を終えた上位3人に関してはそのまま最終順位となる。今大会は各国最大3つの出場枠があったが、五輪やW杯では2人。ショートトラックのように駆け引きや衝突が勝負を左右することに加え、今大会の日本女子のように、チームで戦略を立てることが世界の主流となっている。

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