京都マラソン2017 早春の都大路1万7252人がチャレンジ

[ 2017年2月24日 05:30 ]

仁和寺の仁王門の前で僧侶らの声援を受けるランナーたち
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 市民ランナーが古都を駆け抜ける「京都マラソン2017」は19日に京都市内で行われ、フルマラソン、ペア駅伝、車いす競技の3種目に1万7252人が出場した。そのうち1万6083人がフィニッシュし、完走率は驚異の93・2%をマークした。西京極陸上競技場スタート、平安神宮前ゴールのフルマラソンは世界遺産の仁和(にんな)寺前などを通る見どころ満載のコース設定で、沿道では約8000人のボランティアがランナーを後押し。「DO YOU KYOTO?マラソン」のメインコンセプト通り、参加者は早春の古都を満喫した。

 歯を食いしばり、栄光のゴールにたどり着いた。苦しい時間が長かった分、喜びは倍増する。両手を突き上げる人、深々と頭を下げ、今まで走ってきたコースに感謝の気持ちを伝える人…。ゴール地点の平安神宮前では今年も感動の光景が広がった。

 レース前夜は小雨が降り、当日早朝はスタート地点の西京極陸上競技場に霜が降りたが、開会セレモニーが行われた午前8時40分には快晴に。スタート時刻の午前9時には気温11度、湿度55%と絶好のコンディションとなった。

 6回目を迎えた大会は「DO YOU KYOTO?マラソン」、「東日本&熊本震災復興」をメインコンセプトに応募者が51万9000人に達するほどの大規模マラソンとなった。大会には抽せんなどで選ばれた1万7252人が出場し、何と1万6083人がフィニッシュ。93・2%という高い完走率を記録した。

 「人間は、もっとやれる」――。限界に挑み、目標をクリアしたランナーたち。人間の持つ能力の凄さが数字にも現れた。例年以上に盛り上がった大会に、特別協賛(ゴールドパートナー)したオムロンは社員ら167人がランナーとして出場したほか、500人以上がボランティアとしても活動。人と社会の「もっと」を目指し、挑戦する人を応援した。

 18日にゴール地点に近い「みやこめっせ」で行われたオムロンの「前日祭」には多くのグループ社員が参加した。入社3年目の高桑なつみさん(25)もその一人。愛知県小牧市のオムロンオートモーティブエレクトロニクスに勤務し、購買部に所属。中京大時代には米カリフォルニア州に留学し「国際関係学」を学んだ積極派だ。入社1年目にも京都マラソンを走ったが、当時は「苦しかった思い出しかない」と振り返る。

 今回は「京都マラソンに出て楽しいと思えるようにしたい」と再チャレンジを決意。約2カ月間「職場の先輩、日下愛さんと10〜15キロ走を行って」体作りをしてきた。「目標はサブ5(5時間以内)です」とチャレンジ宣言して迎えた本番は最初の5キロを32分18秒で通過すると、その後も「1キロ約6分」のペースをキープ。4時間35分5秒で見事にゴールに飛び込んだ。「35キロ以降はしんどかったが、自己ベストが出ました!沿道の応援もよく聞こえたし(折り返しなどで)オムロンランナーとすれ違った元気が出た」と感謝した。

 通算では7度目のフルマラソンで自己ベストをマークし、目標もクリア。「チャレンジする人を応援する」という自社のコンセプトを自ら実践し「オムロンに入ってよかった」と喜びに浸った。

 天龍寺、龍安寺、金閣寺、上加茂神社、下鴨神社、銀閣寺など世界文化遺産など多くの観光名所が存在するコースは誰をも魅了した。

 中でも、11キロ手前にある仁和寺は序盤のハイライトとなった。シンボルの仁王門は大きく、まさに圧巻。仁和寺の僧侶は「ひろげよう!復興の輪と心の和」と記した横断幕を広げて声援を送った。寺の住所である「御室」(おむろ)が社名の由来であるオムロン社員による大応援団はのぼりや小旗を振って激励した。

 フルマラソン同様、ペア駅伝でもドラマがあった。1917年に日本で最初の駅伝「東海道駅伝徒歩競走」が行われてから今年で100年となったことを記念し、100組200人から200組400人へと規模を倍増した「ペア駅伝」では西陣織のたすきも制作し、京都らしさをアピール。出場したオムロンのオムロン草津事業所で働く東丸幸江さん(27)と法元(ほうが)優希さん(26)は先輩後輩の間柄。東丸さんが第1走者として27・6キロを3時間44秒で走り、京都府立植物園でたすきリレー。「残り3キロがきつかった。3時間を切りたかったけれど、たくさんの声援が聞こえた」と力を出し切り、法元さんへとたすきをつないだ。

 先輩の力走に「感動しました」と気持ちを高めた法元さんも残り14・6キロを疾走。笑顔で平安神宮前にゴールし「とてもよかったです。来年はフルマラソンにも挑戦できれば」と声を弾ませた。仲間との絆を再確認した植物園の中継地点と、感動のフィニッシュ。2人にとってもフルマラソン挑戦への大きなステップとなりそうだ。

 もちろん、走る人だけが主役ではなかった。今年も約8000人のボランティアが沿道などで大会を支えた。京都市役所前広場の第12給水所(35・1キロ地点)では地元の京産大の学生がチアリーディングなどを通して声援を送れば、オムロンヘルスケア社員はボランティアとして精力的に活動した。ランナーが手に取りやすいように水の入ったコップを机に並べ、時にはランナーにコップを手渡して激励した。「午前9時前に集合し、14時過ぎまで頑張ります!」と声をそろえた通り、レース終盤の厳しい距離に差し掛かったランナーをメンバー全員で鼓舞した。“京”から明日へ――。誰もがうらやむ名所巡りのコース設定、環境と復興支援への思い、そしてボランティアの「おもてなし」の心。日本を代表する市民マラソンへと進化した「京都マラソン」は、ランナーやギャラリーを魅了した。「走る人、応援する人、支える人、それぞれが主役」という大会の理念は、今年も見事に貫かれた。【PR】

 ≪オムロン選手がワンツー≫車いす競技(6・1キロ)ではオムロン選手がワンツーフィニッシュ。パラリンピック出場経験のある寒川進さんが16分48秒で大会連覇を果たし、2位には用田竹司さんが18分32秒で入った。フルマラソン男子は村刺厚介さん(YKK)が2時間20分32秒、女子は幾野由里亜さん(ワコール)が2時間45分15秒で優勝した。

 ≪開会セレモニーで本田望結らがエール≫西京極陸上競技場での開会セレモニーには、京都に縁のある「応援大使」として多くの著名人が登場した。シンクロナイズドスイミング元日本代表の青木愛氏、女子マラソンの千葉真子氏、陸上短距離の朝原宣治氏、女優でフィギュアスケーターの本田望結らが登壇し、ランナーを鼓舞。門川市長や、大会ゴールドパートナーのオムロン山田義仁社長らも笑顔で選手を見送った。本田は「皆さんの笑顔を楽しみにしています」と声を張り上げ、拍手を浴びた。

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