競泳の山中毅氏が死去　五輪３大会出場、銀メダル４つ獲得

　競泳男子自由形で１９５６年メルボルン、６０年ローマ、６４年東京と五輪に３大会連続で出場し、合わせて４つの銀メダルを獲得した山中毅（やまなか・つよし）氏が１０日午後１０時１６分、肺炎のため東京都練馬区の病院で死去した。７８歳だった。葬儀・告別式、自宅は非公表。

　山中氏は石川県輪島市出身。輪島高３年の時にメルボルン五輪に出場し、４００メートル、１５００メートル自由形で故マレー・ローズ（オーストラリア）と激戦を演じて銀メダルを獲得。早大４年で出場したローマ五輪はローズに敗れた４００メートル自由形と８００メートルリレーでもともに２位。これを最後に日本は男子自由形個人種目でメダルに届いていない。東京五輪は４００メートル自由形で６位。世界新記録を何度も樹立するも五輪の金メダルには届かなかった、悲運の名スイマーだった。

　８３年に国際水泳殿堂入り。引退後はスイミングスクールを経営するなど水泳の普及にも力を注いだ。早大水泳部の後輩にあたる日本水泳連盟の青木剛会長は「大変残念。１カ月ほど前にお会いしたときは元気だったので、驚いている。我々にとってシンボルだった」と悼み、「山中さんたちの活躍に報いることができるように、自由形の強い選手をもっと育てたい」と話した。

　▼三宅義信氏　「メシ食いに行こう」と話していたところだったのに、俺が忙しくて…。ローマで金メダルを獲れなかったときは「調子が悪かった」と言っていたが、水泳は競技者としてのピークが短いんだなあという印象だった。ご冥福をお祈りします。（６０年ローマ、６４年東京五輪日本選手団で親交）

　▼スポーツ庁鈴木大地長官　戦後の日本の自由形を引っ張ってこられた。選手時代は豪快だったと聞いたが、大変優しい方で自分も応援していただいた。とても残念です。

　▼日本水連坂元要専務理事　我々は山中さんを目指して頑張った。素晴らしい功績を残した先輩であり、残念。ご冥福をお祈りします。