小平止まらん銀「今季一番いい1000メートルだった」

[ 2017年2月12日 05:30 ]

スピードスケート世界距離別選手権第3日 ( 2017年2月11日    韓国・江陵オーバル )

女子1000メートル、1分14秒43の好記録で2位に入った小平奈緒
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 来年平昌冬季五輪のテスト大会として行われ、女子1000メートルで小平奈緒(30=相沢病院)が1分14秒43で2位に入った。500メートルで日本女子史上初の個人種目制覇を達成した前日に続いての表彰台。日本女子としては01年大会の田畑真紀以来2人目となる個人種目で複数のメダル獲得となった。高木美帆(22=日体大)は6位だった。

 主戦場ではない1000メートルでも小平は氷上で最大限のエネルギーを爆発させた。500メートルで世界を制した前日の勢いそのままに加速。前半200メートルを全体2位で通過すると600メートルまでの1周はトップの27秒06を叩き出した。最後の1周も力を振り絞り1分14秒43の好タイムを出し、会場の大歓声に両手を振って応えた。次の組のベルグスマ(米国)に0秒49かわされ、日本男女通じて初の2冠は逃したが、女子では01年の田畑以来の複数メダルを獲得。「頂点に立ちたかった」と悔やむ一方で「今季一番いい1000メートルだった」と確かな手応えを口にした。

 昨年5月に30歳を迎えたが、キャリアを重ねるごとにスケートへの探究心は高まっている。「身体運動の機能解剖」「徒手運動療法のための筋筋膜経線」と専門性の高い本を購入し「選手としての感覚と合わせて眺めたい」と身体機能について研究。昨年の欧州遠征では、オランダ式のトレーニングの解説書を手に入れた。「ずっと探していたので」とうれしそうに語る顔は、もはや研究者だ。

 昨春まで2年間拠点にしたオランダで定着した愛称がある。「boze kat(同国語で怒った猫の意味)」。現地人コーチから肩を上げて重心を下げる姿勢を叩き込まれたことが由来だ。しかし、小平が本当に目指す領域は「獣」だと言う。レース前のオランダ選手の顔つきを「人間ではない。獣のようなまなざし」と表現した上で「私はとら年。猫から虎に進化できればいい」と笑いながら宣言した。

 今季W杯の出場レース6戦全勝に加え、世界最高峰の今大会も2度の表彰台。「1000メートルは500メートルみたいに突破できた領域ではない。もっと夏場にトレーニングをします」。猫のように俊敏に、にらみを利かした虎のように勇猛に。2冠を視野に捉えた1年後の平昌五輪へ、進化を止めるつもりはない。

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2017年2月12日のニュース