スーパーボウルCM、バドワイザーが“反トランプ”思わせるストーリー展開

[ 2017年2月1日 15:40 ]

ニューヨークで繰り広げられる反トランプ・デモ(AP)
Photo By AP

 NFLスーパーボウルで毎年ドラマ性のあるCMを提供してきたバドワイザー(アンハイザー・ブッシュ社)が、今年は“反トランプ”を思わせるストーリーを展開させていることが明らかになった。31日に公開された本編では、創業者の1人となるアドルフ・ブッシュが1850年代にドイツから艱難辛苦の末に、現在の本社があるミズーリ州セントルイスにたどりつく様子を映像化。そこで小さなビール会社を経営していたエベルハルド・アンハイザー(共同創業者)と出会うまでのストーリーを、1分という限られた時間の中で表現している。

 「Born the Hard Way(生まれながらの苦労)」と題されたCMの中でブッシュは燃えさかる船から海に飛び込み、移民ながら最後まであきらめずに自分の夢を追う姿を見せており、これが指定7カ国からの入国を一時的に禁止したトランプ大統領の政策と見比べられることになった。

 AP通信によれば同社のリカルド・マルケス副社長は「このCMは昨年の5月から製作に入っていた。あくまで夢を追う人間の物語を表現しているのであって、それ以外に特別なことを意識したわけではない」と“政治色”を否定。しかしスーパーボウルは昨年も46・6%という高視聴率を稼いでいる米国の「国民的番組」でもあり、当日限りのオンエアとは言え、その映像から現在の混乱を思い起こす人が大勢出てくるはずだ。

 スーパーボウルのCM放送料はわずか30秒間で500万ドル。広告専門誌「アドバタイジング・エイジ」のジニーン・ポッギ記者は「CMと政治との関係を無視するのは難しいでしょうね。スーパーボウル当日(2月5日=ヒューストン)が来れば、このCMを見たあとに難民の権利についての論議がわき起こるでしょう」と語ったが、総額1000万ドル(約11億3000万円)を投じてオンエアするバドワイザーの“スーパーCM”がどのようなインパクトをもたらすかが注目されるところだ。

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2017年2月1日のニュース