宇良たすき反り 初の珍手「居反り」以上の大技 ひそかに練習

[ 2017年1月21日 05:30 ]

大相撲初場所13日目 ( 2017年1月20日    両国国技館 )

<初場所13日目>立ち合い、天風の懐に飛び込んだ宇良は右手で相手の左ヒジをつかみ体をねじり込み後方へそらしたすき反りを決める
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 業師が大相撲史上“初”の決まり手をついに記録した。十両の宇良(木瀬部屋)が自身21手目の「たすき反り」で天風を撃破。優勝争いでも3敗で首位に並び、初優勝へもぐっと近づいた。

 「名前が残るのはうれしい。急な変化に対応できた」。立ち合いで頭を下げて低く行ったが、天風に差された左に、右腕を返された。普通の力士なら大ピンチ。しかし、ここからの粘りが別格だ。多彩な引き出しの中から宇良は瞬時に、学生時代にも試合で決めた記憶が「ない」という、この大技を選択した。

 相手の左脇に頭を入れると、ぐるっとスピンしながら反り返り、自分は天井を見ながら相手の上体を落とした。天風が土俵に沈むのを背中越しに確かめたかのように、大きく背中を反った宇良の体は元通りに戻った。

 日本相撲協会が1955年(昭30)5月に決まり手として68手(現在は82手・勝負結果5手)を制定して以来では、十両以上の取組では初めての決まり手。同協会資料によると、決まり手制定以前には1952年(昭27)1月の春場所で幕内の常の山が大内山に決めているというが、あくまで参考記録。正式な「たすき反り」1号となった。

 アマ時代に得意とした「居反り」が入門時から代名詞だが、それ以上の大技。「狙ったのか」と報道陣から問われても「そうではない」とかわした。だが、実は稽古のたまもの。部屋では何度も試し、決まったこともある。この日朝も部屋関係者に「反りができればいいな」と話していた。

 昨年秋場所に左手舟状骨を骨折。思うような稽古ができない苦しい状況が続いた。それでも前向きに下半身を鍛え粘り腰に磨きをかけた。体重も昨年春から10キロ近くアップして128キロになった。東3枚目で2桁の10勝目に到達。「あと2番あるので頑張ります」。ご当所、大阪での春場所新入幕に大きく前進した。

 ▽たすき反り 相手の差し手の肘をつかんで腰を落とし、その脇の下に頭を入れ、もう片方の手で相手の足を内側から取り、相手を肩に担ぎながら体を反らせて後方に落とす。「撞木(しゅもく)反り」と似ているが、撞木反りは倒れたときに自分の両足も上がる。

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2017年1月21日のニュース