稀勢 初Vなるか 不戦勝でツキも味方 敵は白鵬だけ

[ 2017年1月21日 05:30 ]

大相撲初場所13日目 ( 2017年1月20日    両国国技館 )

<初場所13日目>2敗を守った白鵬を見届け花道を引き上げる稀勢の里
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 初の賜杯が目前に迫った。大関・稀勢の里(30=田子ノ浦部屋)は対戦相手の豪栄道(30=境川部屋)が13日目から休場となり、不戦勝で12勝1敗。自身初めて単独トップで残り2日間に臨むことになった。平幕の貴ノ岩(26=貴ノ花部屋)、逸ノ城(23=湊部屋)が敗れたため、1差の2敗は横綱・白鵬(31=宮城野部屋)だけ。21日の14日目に稀勢の里が勝って白鵬が敗れれば、悲願の初優勝が決まる。

 豪栄道の休場で不戦勝となっても、稀勢の里に拍手と声援が送られた。それは、辛酸をなめ続けた男への期待の表れ。戦わずして12勝目を手にした大関は表情を変えずに勝ち名乗りを受けた。

 12日目の取組で右足首を負傷した豪栄道の休場は、朝稽古を終えたところで報道陣から聞かされた。「そうなの!」と驚いた表情を浮かべたが、すぐに気持ちは切り替わった。「常に準備していかないと。今日は今日で、まずはしっかり明日に向けて」と自分に言い聞かせるように話した。

 残り2日を単独トップで迎えるのは今回が初めて。何度も優勝争いを経験しているが、最も賜杯に近づいたと言える。2敗で追っていた平幕の貴ノ岩、逸ノ城に土がつき、1差で追うのは横綱・白鵬だけ。14日目に稀勢の里が逸ノ城に勝ち、白鵬が貴ノ岩に敗れれば初優勝が決まる。支度部屋でその可能性を聞かれても「しっかり集中してやるだけ」と朝と同じ言葉を繰り返した。

 綱獲りが振り出しに戻った九州場所では、横綱3連破を果たして12勝を挙げた。今場所は明確な綱獲り場所ではないが、横綱審議委員会ではハイレベルな優勝なら昇進もあり得るという声が出ていた。この日、観戦した守屋秀繁委員長(千葉大名誉教授)は優勝=昇進かと問われると「もちろん星も見てみたい。13勝だったら非常に難しい。議論になると思う」と話し、誰も文句のつけようのない白鵬を破っての14勝での優勝を期待した。昇進を預かる審判部の二所ノ関部長(元大関・若嶋津)は「とにかく優勝」と前置きしながらも「内容よりも優勝。優勝したら、みんなと話はします」と昇進について議論することを明かした。

 稀勢の里の地元、茨城県牛久市も優勝準備を始めた。これまでも優勝の可能性があった千秋楽に牛久市役所でパブリックビューイングを実施したが、今回は14日目から実施する。牛久市民にはメールマガジンで告知しており、過去最大のパブリックビューイングになるのは間違いない状況だ。

 04年九州場所の新入幕から73場所目。賜杯を抱けば史上2位のスロー優勝となる。在位31場所目での大関初優勝なら最も遅い記録となる。大一番でことごとく敗れてきたが、もうチャンスを逃すわけにはいかない。

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2017年1月21日のニュース