錦織 変幻自在の修正力 激闘初日と別人!ストレート完勝

[ 2017年1月19日 05:30 ]

全豪オープンテニス第3日 ( 2017年1月18日    オーストラリア・メルボルンパーク )

声援に応える錦織(AP)
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 男子シングルス2回戦で、世界ランキング5位の錦織圭(27=日清食品)が同72位のジェレミー・シャルディー(29=フランス)を6―3、6―4、6―3で下し、7年連続の3回戦進出を決めた。抜群の修正力を発揮し、フルセットで3時間34分の激闘となった1回戦から一転、2時間6分でストレート勝ちを収めた。20日に予定されている3回戦では世界121位のルカシュ・ラツコ(29=スロバキア)と対戦する。

 酷暑も、フルセットの激闘も2日前の面影は跡形もなかった。あったのはストレートの快勝と錦織のクールな笑顔。苦しんだ初戦をしっかりと糧にして「1回戦よりもはるかに良かった。断然集中してプレーができた」と涼しい顔で合格点をつけた。

 シャルディーに対しては、1回戦のクズネツォフ(ロシア)と似たスタイルを警戒していた。「ストロークがフラット(回転をかけない打球)で似ているところもある」。同じ轍(てつ)を踏まないために、錦織はこう考えていた。「一定の場所で打たせると強い。リズムを崩したり、左右に振っていく」

 その戦略は序盤から顕著だった。第1セットの第1ゲーム、30―30からのラリーで打ち勝った。単調になって相手に気持ちよく打たせない。5本続けたフォアハンドはスプレーのようにコートの幅いっぱいに打ち分け、球筋も変えながら逆クロスの決定打につなげた。

 このゲームで早くもブレークに成功。「出だしがいいと流れも良くなる。今日はサーブの入りもよかった」と第1サーブの確率は、第1セットから78%と絶好調で、合計でも69%と初戦を上回った。3度のブレークを許したことを反省しつつも「当たれば強いがミスも多い選手。チャンスが来るとは思っていた」と7度のブレークを返して力の差を見せた。「基本的なことをしっかりやれば、いいサーブも入ってくれる」。戦術も技術も全ては修正力のたまものだった。

 試合前の戦略だけでなく試合中も微調整は忘れなかった。普段からコート上での感触を確かめた上でラケットのストリング(ガット)を張り替えに出すが、この日もボールの飛びを抑えるために序盤でテンションを2ポンド上げてオーダー。今大会の公式ストリンガーで錦織を担当する玉川裕康さん(40)は「普段は3ゲーム目で連絡がくるけど今日は少し遅くて5ゲーム目。(ラケットを)1本張り終えて送ったら“やっぱりもう1ポンド上げてほしい”とすぐ送り返されてきた」と繊細な要求を明かした。妥協のない姿勢が快勝につながった。

 3回戦も格下ラツコが相手で、錦織は「1、2回戦とは違ったラリー戦になるんじゃないか」と展開を予想している。次も勝てば4回戦は世界10位ベルディハ(チェコ)と同17位フェデラー(スイス)の勝者が相手になる。シード選手との激突に向け、錦織のテニスは修正を重ねながらまだ良くなっていきそうだ。

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2017年1月19日のニュース