菊地絵理香が追求する「ミリ単位の修正」 きっかけは11打もの大差

[ 2017年1月7日 09:30 ]

ミリ単位の修正に挑む菊地絵理香
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 【福永稔彦のアンプレアブル】女子プロゴルファーはこんなにシビアなところで勝負しているのか。正直、少し驚いた。

 昨年12月、東京・新宿のデパートで開催されたゴルフウエア・ブランドのイベントで菊地絵理香(28=オンワードホールディングス)を取材した時の話だ。オフの課題を聞かれた菊地はこんな答えを返してきた。

 「1月に入ったら本格的なトレーニングを始める。それとクラブの入れ方。(16年は)クラブの入れ方を替えたら(ヘッドが)上から入り過ぎて当たりが厚くなり、アイアンやユーティリティーが飛びすぎて苦労した。グルーブ(フェースに刻まれている溝)の(下から)3本目で当たっていたのを2本目に当てるようにしたい。そうすれば縦の距離感も合ってくる」

 昨季はクラブの軌道を替えた影響でフェースの少し上の部分でボールを捉えるようになった。その結果、距離感に微妙なズレが生じたわけだ。フェースに刻まれる溝の本数はクラブによって異なるが、どんなクラブでも3本目と2本目の違いはほんの数ミリに過ぎない。菊地が自らに課しているのは、まさに「ミリ単位」の修正なのである。

 16年はスタジオアリス女子オープンでツアー通算2勝目を挙げ、賞金ランキングで10位。前年の8位から後退したとはいえ、悪くない成績だ。しかし「賞金ランキング5位以内」「メジャー優勝」「複数回優勝」を目標に掲げて臨んだシーズンだっただけに本人にとっては悔しさの方が大きい。さらに、TOTOジャパン・クラシックで米ツアーの選手と戦った経験も向上心をかき立てる要因となっている。

 「TOTOジャパン・クラシックに出ると刺激をもらえる。海外の選手と回ると、自分に足りないもの、弱い部分がはっきりと分かる。感じたのはショートゲーム、100ヤード以内の大切さ。海外の選手は簡単なミスをしない」

 痛感したのは体格やパワーの違いではなく、ピンを狙うショットやアプローチの精度だった。パーオン率7位、パーセーブ率でツアー9位という堅実さを誇る菊地が、3日間で10個のボギーをたたき通算2オーバーの62位に沈んだ。優勝したフォン・シャンシャンには11打もの大差を付けられた。その時の苦い思いが「ミリ単位の修正」につながっている。

 このオフ、菊地は溝1本分の違いを埋めることができるのか。2カ月先の国内女子ツアー開幕が今から待ち遠しい。(専門委員)

 ◆福永 稔彦(ふくなが・としひこ)1965年、宮崎県生まれ。宮崎・日向高時代は野球部。立大卒。Jリーグが発足した92年から04年までサッカーを担当。一般スポーツデスクなどを経て、15年からゴルフ担当。ゴルフ歴は20年以上。1度だけ70台をマークしたことがある。

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