【岡崎真の目】羽生 基本の滑り安定 振り付けに集中する余裕

[ 2016年12月10日 08:40 ]

GPファイナル第1日 ( 2016年12月8日    フランス・マルセイユ )

4連覇に向けて観客を味方につけ、SPで首位に立った羽生
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 シーズン序盤はプリンスを演じようとしていた感のあった羽生のSPだが、ここに来てほぼ完全に羽生ワールドに染まってきたように思う。プログラムを手の内に入れることによって全体に余裕が生まれ、5項目の演技点でもチャンらを抑えトップに立った。素晴らしい内容だった。

 この日特に良かったのは「滑り」という基本的な部分だ。スケートが滑っているからこそ、例えば、ステップでは振り付けに集中できているように感じた。唯一のミスは冒頭の4回転ループだが、これは空中での前傾がやや深すぎたため、着氷の衝撃でさらに体が前に倒れたもの。NHK杯時のような左右の軸のブレではなく、立て直しも比較的容易だったのだろう。つまり、ループの精度は高まっており、フリーの出来にも注目したい。

 一方、宇野はジャンプの踏み切りのタイミングが合っていなかった。転倒した4回転トーループは高さが足りず回りきれなかった。しかし、大きな失敗後はレベルの取りこぼしもなく、トリプルアクセルに至っては羽生の得点をしのいだ。気持ちの切り替えは見事で、羽生、チャン、フェルナンデスの3強に割って入る実力は十分ついていることを感じさせてくれた。(ISUテクニカルスペシャリスト、プロコーチ)

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