伊調馨 東京五輪はNGワード!?本音スピーチで笑いと拍手

[ 2016年12月6日 05:30 ]

スポーツニッポンフォーラム「FOR ALL2016」受賞の喜びを語る伊調馨
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 スポーツニッポンフォーラム制定「FOR ALL 2016」の表彰式が5日、東京都文京区の東京ドームホテルで開催された。グランプリは、リオデジャネイロ五輪レスリング女子58キロ級で、五輪女子初の4連覇を成し遂げた伊調馨(32=ALSOK)、陸上男子400メートルリレーで銀メダルに輝いた日本代表、パラリンピック卓球女子シングルス5位の別所キミヱ(68=兵庫県立障害者スポーツ交流館)が受賞。リレーチームからは飯塚翔太(25=ミズノ)が出席し、それぞれ副賞として100万円を贈られた。

 五輪女子初の偉業を成し遂げた女王は嘘(うそ)をつけないタイプだ。4連覇を達成し世間の関心は東京五輪での5連覇。だが表彰式だからといって軽々にリップサービスするタマではなかった。

 女子レスリング界に並び立つ吉田沙保里とは違い、目立つことも好きではない。だが、国民栄誉賞まで受賞したことで、リオ五輪後はかつてないほどメディアの前に姿を見せてきた。壇上でのインタビューで、何かマスコミへの要望はあるかと質問を受けて「私でも分からないことは聞かないでほしい」とお願いした。

 続けて一言。

 「東京五輪どうするかとか自分でも決めきれてない。“まだ決まってねーよ。もう少し待ってって言ってるじゃん”って。長い目で見てほしい」

 これこそ一滴のウソもない最強女王の本音に違いない。あけっぴろげな物言いに会場は大きな笑いと拍手に包まれた。  試合時のいかめしい雰囲気とは打って変わって、この日は襟なしの白ジャケット、ふんわりしたボウタイシャツに細身の黒のパンツ。女性らしい装いで少しほっそりとした印象だった。「試合をしないと痩せるんです。たぶん筋肉が落ちるんだと思う。3、4キロは落ちてるかな」。減量がつきもののレスリングにあっては珍しいタイプだろう。イベントラッシュは年を明けても続く見込み。「ケガも多かったので今はしっかりと治して、もう少し時間をかけて考えたい。まだ(進退の)明言はできない」と本格的な練習再開はしばらく先になりそうだ。

 壇上では飯塚、別所と3人でリレーチームの侍ポーズも披露した。スポーツを通じて日本を元気づける顕著な働きをした選手に贈られるグランプリ。「この賞に恥じないように、国民栄誉賞にも恥じないようにレスリングを追求していきたい」と喜びを語った。

 果たして現役を続けるのか、それとも他の道を選ぶのか。4年に1度の五輪を4度も繰り返し、頂点に立ち続けてきた。今はまだ決断を急ぐときではないようだ。

 ▽伊調のリオ五輪VTR 1月のロシアの大会で13年ぶりの黒星を喫し、連勝が189でストップして迎えた4度目の五輪だった。初戦の2回戦から動きが硬く、決勝はコブロワゾロボワ(ロシア)に大苦戦。1―2とリードされたままの終了間際、相手のバックを取って2点を挙げ、残り3秒で試合をひっくり返した。土壇場での大逆転劇で、五輪史上5人目、女子では初となる4連覇を達成。14年11月に急逝した母・トシさん(享年65)にささげる金メダルとなった。

 ◇スポーツニッポンフォーラム 「スポーツ振興支援、国民の健康づくりを語り合い、明るく元気な日本をつくる」ことを目的に、官民一体で構成した異業種勉強交流会。開催は年4回で、そのうちの1回は表彰制度「FOR ALL」を設けている。表彰者は選考委員会を経て決定。(1)スポーツを通じて日本を元気づける顕著な働きをした個人または団体。(2)社会貢献並びに地域振興に寄与した個人または団体にグランプリが贈られる。

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