画期的な強化策発表も…バスケ男子日本代表、一刻も早い新監督選定を 

[ 2016年12月2日 16:11 ]

退任したバスケット男子日本代表の長谷川ヘッドコーチ
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 日本バスケットボール協会は1日に「男子日本代表チームの今後の強化活動等について」と称した会見を行い、14年4月から指揮を執っていた長谷川健志監督の「退任」を発表した。18年3月まであった任期途中での事実上の「解任」だ。

 本来ならリオ五輪切符を逃した7月の世界最終予選を区切りに、新たな体制に移行すべきだった。ただ、国内リーグ統一問題でドタバタ続きだった日本協会は、今年5月に東野智弥氏を技術委員長に据えた新強化体制を発足させたばかり。とても新指導陣の準備が間に合う状況にはなかったのだろう。長谷川氏には五輪予選後の国際大会も指揮を執ってもらった。

 日本協会は11月になって、技術委員会アドバイザーとして、モンテネグロ代表を率いたことのあるセルビア人のルカ・パビチェビッチ氏と契約。同氏が暫定的に当面の指揮を執るメドがついたことで、今回の長谷川監督「退任」に至った。ようやく20年東京五輪へ向けて新たなスタートを切ることになるわけだが、肝心の新監督は決まっていない。現在、複数の外国人指揮官の候補をリストアップして交渉中で、東野技術委員長は「来春か、7、8月には発表したい」という。

 これがサッカーの世界だったら、大問題になっているだろう。サッカーではW杯前から次期監督候補を選ぶ準備を行っており、W杯後数カ月の間に新監督が決まる。代表活動に監督不在期間はほぼない。今回バスケット男子日本代表は1年近く正式な監督不在の可能性が出てきており、それだけチーム作りが遅れることになる。

 バスケットは次の五輪から、その前年のW杯(旧世界選手権)が五輪予選を兼ねることになる。そして19年W杯につながる東アジアゾーン予選は早くも来年5、6月頃に開催される。日本は20年東京五輪の開催国枠を保証されておらず、W杯に出場できなければ、地元開催の五輪に出場できる可能性はほぼなくなる。その大事な東アジアゾーン予はパビチェビッチ氏が監督代行として指揮を執る予定だという。

 監督問題では後手を踏んでいる一方で、画期的な取り組みも発表された。日本協会はBリーグ期間中も月に1回の代表合宿を開催することを決めた。さっそく今月11~13日に都内に約25人の候補選手を集めて強化合宿を行う。2月には強化試合も計画されている。

 かつては冬場の国内リーグと夏場の代表は活動期間がはっきり分かれており、リーグ戦中に代表活動を行うことなどなかった。来年以降のW杯予選がリーグ戦期間中に行われることへの対応策でもあるが、日本協会は「日常を世界水準にする」ことを強化方針の一つに掲げており、選手が常に日本代表を意識してプレーすることは大きな意味がある。サッカーの世界では当たり前のように行われていることが、ようやくバスケットでも取り入れられるようになった。

 強化の枠組みは徐々にだが、整いつつある。ただ新監督が未定では、どういうチーム作りを目指していくか見えてこない。東野技術委員長は「(監督の契約で)川淵エグゼクティブ・アドバイザーからは“思い切ってやれ”と言われている。選手には世界基準を求めているし、そうしないとダメだと思っている。すごいヘッドコーチになると思います」と大物招へいに自信を示している。76年モントリオール以来の五輪出場へ向けて、一刻も早い新監督決定が待たれる。(柳田 博)

  

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