大相撲界で進まない世代交代 白鵬も断言「いかに今の上位陣が強いか」

[ 2016年11月29日 10:40 ]

白鵬(左)を寄り切りで破った鶴竜
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 1年納めの九州場所が終わった。2016年の大相撲界を振り返ると、初場所で大関・琴奨菊(32)、春場所と夏場所で横綱・白鵬(31)、名古屋場所で横綱・日馬富士(32)、秋場所で大関・豪栄道(30)、九州場所で横綱・鶴竜(31)が優勝した。この5人はいずれも賜杯を抱いた時に30歳を超えている。1年を通して20代優勝者が出なかったのは年6場所制が始まった1958年以降で初めて。昨年まで白鵬が9年連続で受賞していた年間最多勝も、6場所中4場所で12勝以上を挙げた30歳の大関・稀勢の里が受賞した。

 このデータが物語っていることは「いかに世代交代が進んでいないか」だと思う。白鵬が九州場所中の朝稽古後の取材で興味深いことを言っていた。若手の台頭に関する質問を受けた際に「今の上位陣(横綱、大関)に勝てないと上には上がれない。いかに今の上位陣が強いか。群を抜いているか」と言い切った。

 確かに関脇・高安(26)、小結・御嶽海(23)、幕内・正代(25)、幕内・遠藤(26)ら次の世代の担い手とされる力士が幕内後半戦で力を発揮する場面はあっても、一気に優勝までかっさらってしまうような突き抜ける強さはまだ見えない。昨年こそ、照ノ富士が急成長を遂げて23歳で賜杯を抱いて大関に昇進したが、その後は両膝の状態が思わしくなく低迷中。それに比べて他の昭和生まれの横綱大関6人は必ず誰かしらが優勝争いを演じている。白鵬いわく今のところ平成生まれの若手に対しては「まだまだという感じで土俵に上がっている」と“世代交代”の危機感はそれほど抱いていないという。

 まさに、30代の横綱大関の充実ぶりを証明した1年となった。それでも、今場所の相撲を見ていると世代交代の瞬間が少しずつは近づいてきているという希望は持たせてくれた。遠藤は前半戦に1横綱3大関を破る活躍を見せ、正代はスケールの大きな取り口で11勝。新入幕で勝ち越した北勝富士(24)も力強い相撲を取ったし、十両優勝を果たした佐藤(20)は気迫の突き押し相撲で来場所からの幕内を盛り上げてくれそうだ。新十両で11勝の小柳(23)は場所前の稽古で胸を合わせた白鵬や鶴竜からも潜在能力を絶賛された。7番相撲で三役経験者の豊ノ島を圧倒した幕下の貴源治(19)の将来性にも角界関係者の注目が集まっている。

 どんなスポーツでも世代交代の瞬間を目撃するのは面白い。大相撲界のそれはすぐには訪れることはなさそうだが、刻一刻と近づいているのは確か。果たして5年後の番付はどうなっているのだろうか。そんなことを考えながら大相撲を見るのも楽しみ方の1つだと思う。(鈴木 悟)

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