豪栄、綱獲り土俵際…微妙判定で2敗 物言いから差し違え

[ 2016年11月21日 05:30 ]

大相撲九州場所8日目 ( 2016年11月20日    福岡国際センター )

<九州場所7日目>日馬富士(右)はよりきりで御嶽海を破る

 綱獲りに挑んでいる大関・豪栄道は関脇・隠岐の海に押し出されて痛恨の2敗目を喫した。いったん軍配は豪栄道に上がったが物言いが付き、差し違えとなった。全勝を守った横綱・鶴竜とは2差となり、昇進条件とされる連続Vのためには、これ以上負けられない立場に追い込まれた。1敗は白鵬、日馬富士の両横綱と平幕の石浦。関脇・高安は栃煌山に押し出されて4敗目となり、大関昇進は遠のいた。

 痛恨だった。豪栄道は綱獲り場所の中日で2敗目を喫し、崖っ縁に追い込まれた。押す隠岐の海を、いったんは左からの突き落としで逆転したかと思われた一番。軍配も豪栄道。微妙な勝負に物言いがついた。5人の審判による協議後、友綱審判長(元関脇・魁輝)の説明を会場が固唾(かたず)をのんで聞いた。

 「協議の結果、豪栄道の体(たい)が先に落ちており、隠岐の海の勝ちといたします」

 結果は行司差し違えで黒星。押し込まれながら俵にあった豪栄道の左足。そのかかとが、俵の外で蛇の目と呼ばれる砂に触れていたかどうかが協議対象と思われていた。しかし友綱審判長は、勝負の分かれ目を「体」と説明。取組終了後、友綱審判長は再度、「豪栄道の体が土俵の中になかった。かかとが出ていたのかどうか、という部分もあったけど、もう片方の足が土俵の外に、という感じだ」と補足した。

 支度部屋に引き揚げてきた大関は、報道陣に「どうでした?」と逆質問。土俵際について「なんとも言えないです」と複雑な表情で答えるのが精いっぱい。かかとが出ていれば蛇の目に付くはずの跡については「なかったと思う」と記憶をたどった。相手の隠岐の海も「(左かかとは)出ていなかった。自分が一番近くで見ていた」と証言。土俵下の審判委員5人の意見も割れたという。

 なんとも後味の悪い敗戦。それでも「内容がよくない。立ち合いの踏み込みが悪い。振り返ってもしょうがないし、明日から気合を入れてやるしかない」と前を向いた。

 もちろん、まだ諦めるわけにはいかない。過去、豪栄道が幕内で12勝以上を挙げたのは6場所。そのうち4回は中日までに2敗以上を喫しながら、後半に盛り返している。友綱審判長も「上の人を倒して並んだり、それを目指して頑張ってもらいたい」と綱獲りが途切れていないことも付け加えた。9日目は稀勢の里戦。今場所最初の大関戦で勢いを取り戻し、望みをつなげたい。

 ▼八角理事長(元横綱北勝海)豪栄道は終わったわけじゃない。開き直っていい。ただ、投げやりになっては駄目。粘り強くいかないといけない。(優勝争いは)3横綱が中心だろう。2敗の力士がどれだけ踏ん張れるかだ。

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2016年11月21日のニュース