強い遠藤が戻ってきた!照を圧倒、660日ぶり大関食い

[ 2016年11月15日 05:30 ]

大相撲九州場所2日目 ( 2016年11月14日    福岡国際センター )

照ノ富士(左)を寄り切りで破る遠藤

 東前頭3枚目の遠藤が照ノ富士を寄り切って11場所ぶりに大関を撃破した。昨年春場所に左膝を負傷して以来、十両落ちも経験。ケガに悩まされ続けてきた人気力士が復活を印象付けて、念願の三役昇進に向けて貴重な白星を挙げた。綱獲りに挑む豪栄道は大関昇進の懸かる高安を突き落として2連勝。3横綱は安泰で、白鵬は史上3人目の通算1000勝にあと1勝とした。

 「うれしいですよ」と支度部屋で素直につぶやいた一言が、2年弱に及ぶ遠藤の苦労を物語っていた。巨体の照ノ富士を相手に持ち味である柔らかさ、うまさを全て出し切り盤石の寄りで初白星。数々のケガを乗り越え、昨年初場所14日目の琴奨菊戦以来660日ぶりに大関を撃破した。

 三役昇進が見えかけていた昨年春場所で左膝の前十字じん帯断裂と半月板を損傷。その後もかばっていた右足首を痛めるなど長らく負の連鎖が続いた。だが、遠藤にはそれを断ち切るために最善の努力を尽くしてきた自負がある。「ケガをしてから忍という字がずっと頭にある」。酒もギャンブルもせず、結婚も「今はない」ときっぱり。なぜなら「中高大と青春時代を犠牲にしてきた。中途半端にそういうことをしたくない。もうちょっと相撲が充実しないといけない」と心に決めているからだ。先月26歳を迎えて、今思うのは「忍んだ先を見てみたい」。平幕下位で13勝を挙げた先場所は横綱大関戦が一番もなかっただけに、この日の照ノ富士撃破がその第一歩となった。

 成績不振により支援を休止していた企業からも再び目を向けられるようになった。CMにも出演していた、手帳で有名な高橋書店が今場所から遠藤の取組に対し15日間で計30本の懸賞を復活。相撲協会の担当者は「成績が安定すれば遠藤関に懸けたいという企業はもっと出てくると思います」と話す。この日で幕内成績を127勝127敗と五分に戻した遠藤は「普段から稽古ができるようになってきて少しずつ良くなってきた」と復活へ手応え十分。忍んだ先に見えてきた本来の取り口で白星を量産し、人気と実力を兼ね備えた役力士を目指す。

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2016年11月15日のニュース