バラ一族の陰謀

[ 2016年11月2日 08:35 ]

デローザ「SKピニンファリーナ」

 【我満晴朗のこう見えても新人類】「いつかはクラウン」という名コピーがかつてあった。

 ロードバイク好きの筆者は、こうパクりたい。

 「いつかはデローザ」

 知る人ぞ知る、イタリアの名門ブランドだ。創業60年を超える歴史を誇り、数々の名選手が愛用した伝統のカロッツェリア。

 過去に名車は数多いが、現行のラインアップでも魅力的なバイクがたくさんある。なかでも「NEO PRIMATO」と「NUOVO CLASSICO」とはクラクラするほど美しい。ともに古典的なクロモリバイク。デローザは時代の最先端を行くフルカーボンバイクも発売しているけれど、やっぱりホリゾンタルフレームにスレッドステムを装着した細身のクロモリが一番落ちつくんだな、これが。

 ちなみに「NEO PRIMATO」はフレームだけで税別27万5000円。「NUOVO CLASSICO」の方は同じく32万8000円。おいそれと買えるような値段ではないのも怪しく誘っているみたいで悩ましい。

 そのデローザを使用しているプロコンチネンタルチーム「NIPPO Vini Fantini」が10月24日、東京都内のイタリア大使館で記者会見を行った。イタリア籍のチームだが、運営は日本の経験豊かなスタッフも関わっている。日本選手も今季は4人が所属し、山本元喜(25)がジロ・ディタリアに初出場して見事完走を果たした。会見では来年の新メンバーを発表。23歳以下の日本チャンピオン小林海(まりの=22)のほか、リオ五輪日本代表・内間康平(27)ら有力4選手が加わる。

 エースはイタリア人のダミアーノ・クネゴ(35)。2004年のジロ王者で、「小さな王子様」の愛称を持つ大スターだ。彼を勝たせるために他の選手がアシストするのがロード界の通例。ところが大門監督によると「クネゴがアシストして日本選手が勝つというのがボクの使命」という。2020東京五輪を見据え、出場枠のポイントを稼げるアジアのレースを見据えているとのこと。もしそれが実現するのなら、日本のロードレースにとってこれ以上心強いことはない。クネゴ自身も「自分の経験を若い選手に注入したい」とやる気満々だった。

 そんな熱い会見で気になったのは1台だけ飾られていた「SKピニンファリーナ」というモデル。

 ピニンファリーナ!

 よく見るとトップチューブにはPininfalinaとおなじみのロゴが誇らしげに刻まれている。もちろんフルカーボン。最新の空力形状だが、全体的にクラシックなたたずまいはさすがデローザとの共同制作だ。

 見れば見るほど吸い込まれるような美しさ。値段はフレーム単体で税別34万8000円だから「NUOVO CLASSICO」プラス2万円でこれが手に入るんだ…。

 写真を撮りながらクラクラしっ放し。あれ?クロモリ愛はどこに行ったんだ。デローザの誘惑、恐るべし。(専門委員)

 ◆我満 晴朗(がまん・はるお)1962年、東京都生まれ。ジョン・ボンジョビと同い年。64年東京五輪は全く記憶にない。スポニチでは運動部などで夏冬の五輪競技を中心に広く浅く取材し、現在は文化社会部でレジャー面などを担当。たまに将棋の王将戦にも出没し「何の専門ですか?」と尋ねられて答えに窮する。愛車はジオス・コンパクトプロとピナレロ・クアトロ。

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