日本人初快挙の松山に見た成長 追われる立場でも攻めるその精神力

[ 2016年11月1日 10:15 ]

7打差の独走で快挙を達成した松山(AP)

 中国で行われたゴルフ世界選手権シリーズのHSBCチャンピオンズ。松山英樹が2位に7打差で圧勝し、同シリーズ初の日本人覇者に輝いた。高精度のショット力。世界トップの外国勢にも劣らぬパワー。数少ないピンチも寄せとパットでパーを拾う。隙のないゴルフを続けた中で、最も目を見張ったのは成長した精神力だった。

 大会3日目の18番パー5。松山は2位に2打差をつけていた。1Wでフェアウエー右サイドを捉え、同組で回る2位ノックスもまた1打目をフェアウエーに運んだ。グリーンまでコース右サイドには池が広がり、この日の風はハザードへと誘うように左から右へ流れていた。ピン位置はグリーン奥目。仮に“池ポチャ”の失敗をしても1打罰を払った後の4打目で寄せてパーをセーブできる。残り18ホール。まだミスが許される中、この2打目の選択が最終日を優位に迎える上での明暗を分けたように思われる。

 先に打ったノックスはアイアンで刻むルートを選択。一方で、松山は迷わずウッドを振り抜きイーグルチャンスにつけた。追う立場のノックス。追われる立場の松山。プレッシャーを与えたのは攻撃的姿勢を見せた松山だった。ノックスは3打目を寄せきれずパーでホールアウトし「超アグレッシブなプレーをしないと、なかなか松山には追いつけないだろう」と苦笑いした。

 松山は2パットでバーディーを奪いリードを3打まで広げて、最終日はバーディー発進。気の持ちよう、物事の捉え方といった要素が体に敏感に反応する競技において、「攻め」と「守り」に分かれた2人の選択肢は優勝争いに少なからず影響を与えたはずだ。今大会30個目のバーディーを目指し、最後までアグレッシブに攻め続けた松山は米ツアー通算3勝目だけでなく、その先の大きな目標を見据えていたに違いない。何よりも、ぶっきらぼうだった男が会見で言った言葉に成長の跡を感じた。「両親に感謝したい」。(宗野 周介)

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2016年11月1日のニュース