松山 アジア人初の世界選手権シリーズ優勝 ウッズ級独走7差

[ 2016年10月31日 05:30 ]

世界選手権シリーズ HSBCチャンピオンズ最終日 ( 2016年10月30日    中国・上海 余山国際GC=7261ヤード、パー72 )

HSBCチャンピオンズで優勝を果たし、笑顔でトロフィーを掲げる松山
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 ウッズ級のぶっちぎりVだ。松山英樹(24=LEXUS)が世界選手権シリーズ(WGC)で日本勢初優勝を果たした。2位に3打差の首位でスタートし、6バーディー、ボギーなしの66で回り、2位に7打の大差をつけ圧勝した。今大会は米、欧州ツアーを兼ねており、米ツアーは2月のフェニックス・オープン以来、2季連続の3勝目。丸山茂樹に並ぶ日本勢最多となった。最新の世界ランキングでは10位から自己最高の6位に浮上する。

 影さえ踏ませなかった。2位と3打差から出て、最後は大会最多となる7打差をつけての優勝。日本勢だけでなく、アジア勢初となる世界選手権シリーズ(WGC)制覇、24歳8カ月5日での優勝は大会最年少でもある。記録ずくめの快挙に自己採点が厳しい男の表情が緩んだ。

 「誰かが勝っているだろうと思ったが、うれしい。アジアにとってもいい刺激になったと思う」

 圧勝だったとはいえ、ピンチがなかったわけではない。「スタート前からナーバスになっていた」の言葉が偽らざる本音。4番パー3はシャッター音にスイングを崩されてグリーンを外し、8番パー5は4オンが精いっぱいだった。だが、4番は4メートル、8番は速い下りの1・5メートルを沈めてスコアを維持した。

 「(4番で)しっかりとセーブできて、その後無理することなくプレーできた」。パットの好調さはバーディーにも直結した。13番で10メートルほどの長いスライスラインを沈めると、14、15番と3連続バーディー。「計30バーディーにしたかった」という4日間の目標には1個足りなかったが、通算29バーディーは今大会最多。他の追随を許さなかった。

 世界ランキング10位以内のうち8人がそろったことが示すように、WGCには海外のトップ選手が集まる。WGCにはストロークプレーの大会が今大会を含めて3試合あるが、過去に7打差以上離して優勝したのはタイガー・ウッズのみ。かつての世界最強ゴルファーに肩を並べる強さを見せ、最新の世界ランキングで10位から自己最高の6位になると報じた。1桁順位は、日本勢4人目の快挙。すでに青木功の8位は抜き、次なる標的となる尾崎将司の5位、中嶋常幸の4位超えも現実味を帯びてきた。AONの3人が過ごした時代は日本ツアーのポイントが高く、主に国内で世界ランキングを上げた。だが、現在の日本のエースは違う。米ツアーを主戦場とし、世界中の猛者を敵に回してのし上がってきた。

 17年シーズンは開幕から好調が続いている。先週のCIMBクラシックの2位に続いて、今大会での優勝。年間王者を決めるフェデックスランキングでは初めて首位にも立った。次なる目標は、一つしかない。「メジャーに勝ちたい気持ちがより一層強くなった。課題を克服していきたい」。今季の4大大会初戦は来年4月6日、場所はオーガスタナショナル。マスターズでの勇姿が今から待ち遠しい。

 ▽HSBCチャンピオンズ 毎年10~11月に中国・上海で開催。2009年から世界選手権シリーズに加わった。同シリーズは世界の男子主要ツアー(米、欧州、日本、オーストラリアなど)による国際ゴルフツアー連盟が1999年に創設。4大メジャーに次ぐ格付けの大会で、出場選手は世界ランキングなどで決まり、通常の大会より限定される。今年は3試合行われた。

 ▽ウッズが2位に7打差以上離したWGC 世界の実力者が集うシリーズでこれまでに4度記録。06年アメリカンエキスプレス選手権(現キャデラック選手権)では8打差をつけた。ブリヂストン招待では3度記録しており、00年(当時はNEC招待)はジャスティン・レナードとフィリップ・プライスに11打差をつけるWGC史上最大ストローク差で優勝。07年と13年は7打差をつけた。

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