【岡崎真の目】羽生、正しかった“大人の選択” 表彰台確保へ抑え気味演技

[ 2016年10月31日 08:00 ]

表彰式でメダルをかけさびしそうな表情の羽生(AP)
Photo By AP

 全体的に動きが抑え気味に感じられた羽生のフリーだが、実は正しい選択をしたと思う。今季初戦のオータム・クラシックでは、難度の高いフリーの後半で余力がなくなった印象だった。この日は得点源の4回転で2つミスはあったが、最後まで演技に力があり、前回より得点はアップした。

 SPで4位と出遅れた羽生にとってフリーでやるべきことは、GPファイナル進出を見据え、着実に表彰台を確保することではなかったか。そのためには、SPで10点以上の差がついたチャンを逆転すること=「完璧」を求めることは、リスクが大きい。今できることをそつなくこなし、上位をうかがうのが“大人の選択”だろう。冒頭で「抑え気味」と表現したが、冷静な演技で表情は最後まで集中していることを感じさせるもので、プログラムの完成度そのものも高まっている印象だ。

 まだ21歳だが、世界の頂点に立つ男。時に大人の選択は必要となるだろう。また、一気に完璧を求めるのではなく、段階を踏んで完成度を高めていくことも大切。シーズン序盤の試合としては決して悪くないものだったと思う。 (ISUテクニカルスペシャリスト、プロコーチ)

続きを表示

2016年10月31日のニュース