平尾さんも望んでいるはず…トップリーグ確固たるシステムの構築を

[ 2016年10月21日 08:15 ]

10月15日に行われたヤマハ発動機-ホンダ。ヤマハ発動機は後半5分、伊東がこの日、自身3本目のトライ
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 ラグビーのトップリーグは第7節まで終了し、この週末に第8節の8試合が行われる。早くもシーズンの過半数を消化するわけだが、優勝争いは7戦全勝のヤマハ発動機、サントリーに絞られた感がある。05~06年シーズン以来、11季ぶりにプレーオフ(PO)を廃した負の側面が出てしまった形だ。

 プロ野球ではクライマックスシリーズ(CS)が始まって以来、「レギュラーシーズンの重み」がよく語られる。144試合戦って、ぶっちぎりで優勝してもCSで敗れれば日本シリーズには進出できない。その意味ではトップリーグもレギュラーシーズンの重みは格段に高まったと言えるが、個々のチームレベルで見ても、弊害の方が多くなっている感がある。

 第7節まで4勝3敗と苦しんでいる、昨季準優勝の東芝。チームを率いる冨岡鉄平ヘッドコーチは「選手を育てる上で、どの試合も負けられないというのは難しい面がある」と話す。これまでは上位4チーム(昨季は上位8チーム)に入れば優勝の可能性があったが、POのない今季は一戦必勝とならざるを得ない。昨季までなら対戦相手との力関係を見て思い切って若手を起用することもできたが、今季はそれもできない。

 それでも東芝は1年目のSO田村熙(ひかる)を司令塔に据え、2年目のウイング松岡久善を今季デビューさせて積極起用している。東芝に限らず、完全無欠の実力主義でスタートの15人を決めず(断っておくが、田村と松岡が実力主義以外の理由で先発起用されていると言いたいわけではない)、若い選手を抜擢することは、将来の日本ラグビー界にも必ず好影響をもたらす。今季のシーズンストラクチャーは、そうした機会を奪ってしまう可能性がある。

 19日の日本協会の理事会で、来季のシーズンルールを変更することが了承された。昨季はW杯のために短縮日程で行われ、その前のシーズンは2ステージ制だった。4年連続で異なるレギュレーションでシーズンが行われることは決して褒められたことではないが、悪しきシステムをいち早く改革することは悪くない。たくさんの意見を聞き、今後数年は変更する必要のないシステムを構築してほしい。(阿部 令)

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2016年10月21日のニュース