優勝14回の中大がまさか…88回連続箱根消えた

[ 2016年10月16日 05:30 ]

第93回東京箱根間往復大学駅伝競走予選会 ( 2016年10月15日    陸上自衛隊立川駐屯地~国営昭和記念公園の20キロ )

箱根駅伝出場を逃し泣き叫ぶ舟津主将(右)ら中大の選手たち
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 歴代最多14回の優勝を誇る古豪が箱根路を前に散った。50校が参加して行われ、各校上位10人の合計タイムで中大は10時間17分1秒の11位。10位の日大とは44秒差で、上位10校に与えられる本戦出場権を逃した。1925年の第6回大会から続いていた歴代最長の連続出場記録も「87」で途絶えた。大東大が合計タイム10時間8分7秒でトップ通過を決めた。

 1年生で主将を任された舟津は必死の思いで声を張り上げた。「先輩たちに心ない声を言う人がいれば自分が受けて立ちます!」。レース後、学校関係者やOBへのあいさつで泣きながら訴えた。

 中大勢トップ、個人15位に入ったエースの町沢(4年)は「あいつが矢面に立たされていたら、本来は俺たちが守らなきゃいけないのに」と申し訳ない思いでその姿を見ていた。この複雑な状況が中大の現状だった。

 本戦切符まで44秒差の11位。大正14年からつないできた、重たく長い伝統はついに途切れた。

 大学間の選手獲得競争が年々熾烈(しれつ)になり、古豪中大もかつてのようには選手を集められなくなった。20年前を最後に優勝から遠ざかり、最近は4年連続で予選会に回っていた。チーム再建のため、4月からは世界選手権マラソン代表3回の藤原正和氏(35)が監督に就任。新監督は門限を厳しくし、ミニバイクを禁止するなど、まずは生活面の見直しから始めた。それだけ規律は緩み、選手の意識は低くなっていた。

 6月の全日本大学駅伝関東予選会で17位と惨敗すると、今度は1年生を主将に抜てきする荒療治に出た。最初はチーム内の雰囲気がぎごちなくなったが、1年生主将の熱意と気遣いで少しずつまとまり、変わっていったという。しかし全てを好転させるにはあまりに時間が足りなかった。

 舟津は「これだけ伝統がある中で、出場できなかった時の怖さにおびえていた」と言った。記録の呪縛はもうない。「これからはチャレンジャー。思い切ってやっていく」。重い伝統の上に積もったほこりを払い、再スタートを切るべき時がやってきた。

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2016年10月16日のニュース