条件揃えば出る日本人9秒台 いつでも出せる“強さ”求めるオフ

[ 2016年10月10日 10:45 ]

桐生祥秀

 出そうで出ない。きょうこそ出るか。いや、やっぱり出ない。レースのたびに、見ているこちらも緊張する。今年もそんなシーズンだった。陸上男子100メートル。日本初の9秒台は、来季に持ち越しとなった。

 伊東浩司が98年バンコク・アジア大会で10秒00をマークしてから18年。洛南高3年だった桐生祥秀が13年織田記念国際で10秒01を叩き出してから3年。リオデジャネイロ五輪の400メートルリレー銀メダルで沸いた短距離界だが、“10秒の壁”は日本のスプリンターの前に立ちはだかった。

 6月には桐生が10秒01、山県は3度も自己記録を更新し、9月に10秒03まで縮めた。今季急成長したケンブリッジ飛鳥は5月に10秒10をマーク。9秒台まで、あとほんの少し。晴天に恵まれ、会場が高速トラックで、適度な緊張感の中、2・0メートルの追い風で走れば、この3人は9秒台が出るだろう。

 6月の日本選手権前、山県は「条件が揃えば出ると言われていますけど、出ていないのが現実。それは受け止めないといけない」と話していた。3人とも、世界大会の決勝進出を目標に掲げる。ならば、9秒台を「いつでも」かつ「どこでも」出せるくらいの余裕が必要になる。“速さ”はもちろん、少々の悪条件には屈しない“強さ”を求めて、鍛錬のシーズンオフが始まる。(杉本 亮輔)

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2016年10月10日のニュース