【パラリンピアン支える力】競技に集中し引退後も安心の労働環境を

[ 2016年9月19日 08:45 ]

 現役のパラアスリートが競技に集中できるだけでなく、引退後の不安もなく生活することはできないか。その答えとなるスキームをつくり上げた会社が福岡にある。障がい者スポーツ選手雇用センター「シーズアスリート」。C’sのCはChallenger(挑戦者)を示している。

 きっかけは04年アテネパラリンピックの終了後だという。ゴールボール女子で銅メダルを獲得した小宮正江が現役続行を志し、支援企業を探すために訪れたのが総合人材サービス会社「アソウ・ヒューマニーセンター」だった。パラアスリートを取り巻く環境の厳しさを知った同社は、05年にシーズアスリートを立ち上げ、動き始めた。

 試行錯誤の末につくり上げたスキームは(1)会員企業でアスリートを雇用の上、シーズアスリートに出向(特別法人会員)(2)会員企業から月会費3万円の支援を積み上げ、シーズアスリートとして直接選手を雇用(法人会員)(3)個人から年会費1万円の支援(個人会員)の3種類。現役時代から業務をこなし、引退後も働ける環境をつくることに特徴がある。リオにはゴールボール女子の小宮のほか、浦田理恵、車いすテニスの川野将太と、特別サポート選手の車いすマラソン・副島正純の4選手が出場した。

 現在、2種類の法人会員は81社。福岡だけでなく、東京や兵庫、沖縄でもアスリートを雇用し、在宅勤務で練習環境を保持する支援を行っている。自らもゴールボール選手として活躍する工藤力也リーダーは「立ち上げ当初は行政がすべきサポートという声もあったが、やはり自ら動くことが重要だった」とし、同様の組織が全国に広まることに期待を込めている。

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2016年9月19日のニュース