琴勇輝4戦全勝で滑らか「ホウ」に続き左膝テーピング封印

[ 2016年9月15日 05:30 ]

蒼国来(左)を突き出しで破った琴勇輝

大相撲秋場所4日目

(9月14日 両国国技館)
 平幕の琴勇輝が蒼国来を下して、自身入幕後初めて初日から4連勝を飾った。上位陣の全勝は貴ノ岩を寄りきった大関・豪栄道だけで、混戦の主役になる勢いだ。東前頭筆頭の隠岐の海も、照ノ富士に際どい相撲で勝ち、無敗を守った。綱獲りの大関・稀勢の里は嘉風を小手投げで下し2勝2敗。2場所連続Vを狙う横綱・日馬富士は3勝目を挙げた。

 左膝に残る大きな手術痕。だが、その不安を一切感じさせない明るい表情で支度部屋へと引き揚げた。琴勇輝が蒼国来を突き出し、初日から4連勝。全勝は早くも3人だけとなり、平幕ながら場所を引っ張る立場に躍り出た。

 立ち合いは、やや遅れてしまい、蒼国来に踏み込まれた。「目を開くと目の前に(相手が)いた」。しかし、とっさに体が動いた。左から突き落とし気味におっつけて一瞬にして形勢を逆転。あとは得意の突き押しで圧倒し「冷静に取れた」と胸を張った。

 これぞ左膝の“脱ロボット”効果だ。先場所までぐるぐる巻きにしていたテーピングを思い切って外した。「ここ数年、左膝はロボットみたいだった。ガチガチに固めていたから。力を入れないと動かなかった。今は前後左右、全部動く」。カクカクしていた動きだったのがうそのように、スムーズに働いてくれる膝に自信を深めている。

 2013年の九州場所6日目の徳勝龍戦で「左膝膝蓋(しつがい)腱、前十字じん帯損傷」の重傷を負い、車椅子で病院送りになった。それからは動きを犠牲にしてでも再発防止を優先してきた。だが、番付発表後、いろいろ試す中でテーピングを外して稽古。思った以上に動けたことからついに封印を解き、好スタートにつなげた。

 もちろんケアは続けている。名古屋場所は初日から9連敗するなどリズムに乗れず2勝13敗。両国国技館での今場所は「いつでも治療ができる」という安心感もある。部屋の近くにある、行きつけの銭湯で冷水と温水に交互に漬かり疲労回復もバッチリだ。

 平幕無敗は早くも隠岐の海と2人だけと知ると「そうなんですか。でも、関係ないと思うことにします」と話す眼光は鋭い。番付は西前頭8枚目だが、先場所まで2場所連続三役だったことを忘れてはいけない。春場所では日馬富士と2大関を破っている。上位の乱れに乗じ、平幕Vの夢も膨らむ。

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2016年9月15日のニュース