パワーリフティング 健常者を上回る上半身の力比べ

[ 2016年9月8日 11:16 ]

 パラアスリートの力持ちNo・1を決める競技である。一般的には耳慣れない競技名かもしれないが、いわゆるベンチプレス。ベンチの上に仰向けになり、胸の上から押し上げるバーベルの重さを競う。出場できるのは下肢に障がいがあり、バーベルを握れる選手。男女ともに10階級があり、障がいの程度によるクラス分けはない。

 興味深いのは障がい者が健常者を上回ることが可能な数少ない競技である点だ。今回、3度目の出場となる88キロ級の大堂秀樹(41=コカ・コーライーストジャパン)は過去に健常者のベンチプレスの競技会に出場して優勝したことがある。パワーリフティング(ベンチプレス)は上半身の力だけの勝負。同じ体重なら、下肢に障がいのある選手は健常者よりも上半身により筋肉をつけることができる場合があるのだ。ただ不思議なことに、スーパーヘビー級(無差別級)のラーマン(イラン)の世界記録は295キロで健常者の世界記録270・5キロを大幅に上回る。どうしてそんなことが可能なのか、誰も説明できない。この競技の奥深さである。

 08年北京8位、12年ロンドン6位の大堂は「日本記録(196キロ)を更新して、過去2大会を上回りたい」と気合が入っている。日本からは大堂のほかに、54キロ級の西崎哲男(39=乃村工藝社)、49キロ級の三浦浩(51=東京ビッグサイト)が出場する。

続きを表示

2016年9月8日のニュース