ホステスプロ穴井 最高の恩返し初V プロ9年目苦労人

[ 2016年9月5日 05:30 ]

<ゴルフ5レディース最終日>優勝カップを手に笑顔を見せる穴井詩

ゴルフ5レディース最終日

(9月4日 北海道美唄市 ゴルフ5カントリー美唄コース(6364ヤード、パー72))
 首位から出た穴井詩(らら、28=ゴルフ5)が6バーディー、1ボギーの67で回り、通算14アンダーの202でプロ9年目にして悲願のツアー初優勝を達成した。大会主催のゴルフ5と09年からスポンサー契約を結ぶホステスプロが最高の恩返しを果たした。2打差の2位に申ジエ(28=韓国)が入った。

 最高の瞬間を迎えた。08年のプロテスト合格から8年、穴井は最終18番で1・5メートルのパーパットを沈め、小さくガッツポーズ。ホステスプロで初Vを飾った。「この試合が初優勝というのは凄く大きい。諦めずにサポートしてくださった皆さんに感謝です」と笑顔で語り、涙は見せなかった。

 好調のパターで強敵を振り切った。14番で1・5メートルのパーパットを外して申ジエとイ・ボミに1打差まで迫られたが、15番で7メートルのバーディーパットをねじ込みガッツポーズ。「今週はパターが良かった」と笑った。

 ゴルフ人生は苦労とともにあった。教師の父・幸二さんの米国赴任を機に自身も中学2年で渡米。米国で高校を卒業後、フロリダの大学に進学したが、1年で中退してミニツアーに参戦した。だが、結果を出せず、父にもらった200万円のゴルフ資金を使い切り、07年に帰国。インターネットで即日入寮できるゴルフ場を探し、滋賀の富士スタジアムGCでキャディーのアルバイトをしながら練習に励んだ。

 08年のプロテストに一発合格した後も、プロ5年目の12年に初シードを獲得するまでは塾講師のアルバイトで遠征費を稼いだ。14年には「私が勝てる試合だった」という最終戦のツアーチャンピオンシップ・リコーカップでプレーオフまで進んだが、敗れて号泣。それでも「リコーの経験やいろんな負けを経て鍛えられた。今日楽しんでできたのはそういう経験があったから」と無駄にしなかった。今回の洋芝が張られたコースも「洋芝は相性が良いと思う。マサチューセッツで昔、練習していた環境に似ている」と攻略した。

 「今年は予選落ちが続いてもいいから1試合だけ勝てばいいと思っていた」と振り返ったが、8日からは日本女子プロゴルフ選手権コニカミノルタ杯(北海道・登別CC)が控える。「次はメジャーが欲しい」と貪欲に目標を切り替え、遅咲きの花が快進撃を続ける。

 ☆生まれとサイズ 1987年(昭62)11月11日生まれ、愛知県岡崎市出身の28歳。1メートル65、58キロ。

 ☆ゴルフ歴 父・幸二さんに勧められ、11歳からゴルフを始める。14歳で米ボストンに移住。マサチューセッツ州のレキシントン高でゴルフ部に入り、本格的に競技ゴルフを始める。08年のプロテストに一発合格。同期は原江里菜、菊地絵理香、木戸愛、森田理香子ら。得意クラブは1Wで平均飛距離は270ヤードの飛ばし屋。

 ☆アルバイト プロ転向後もしばらく行っていた塾講師のアルバイトは「時給1200円」。得意の英語だけでなく、全教科教えていたという。

 ☆名前の由来 詩と書いて「らら」という珍しい読みをするが、これは父が「音楽を好きになるように」と名付けた。

 ☆リラックス法 漫画を読むことが息抜き。「ドラゴンボール」と「シティーハンター」がお気に入り。

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