白鵬 負傷相次ぎ休場危機も 4日間自宅療養後ようやく始動

[ 2016年9月5日 05:30 ]

稽古後に氷水で両足を冷やす白鵬

 大相撲の横綱・白鵬(31)が4日、38度目の優勝と残り3勝に迫る通算1000勝が懸かる秋場所(11日初日、両国国技館)に向け、ようやく始動した。右足親指と左膝の負傷で先月29日の番付発表後に一度も稽古まわしを締められていない状況だったが東京都墨田区の宮城野部屋で運動を開始。万全の状態とは程遠いため休場する可能性は十分にあるが、出場に向け最善の努力を尽くすことを誓った。

 本来の始動日だった先月31日から4日連続で自宅で療養していた白鵬がついに稽古場に姿を現した。先場所9日目の勢戦でつまずき負傷した右足親指はいまだに腫れ上がった状態。さらに夏巡業に無理して参加していた影響で、1年前に発症した左膝付近の炎症も再発した。そんな危機的状況だが「時間もなくなるので」と先月29日の番付発表以来初めて白まわしを締め、ゆっくりと稽古場を闊歩。足に負担が掛かるため四股もすり足もできない。ただひたすらてっぽうを行い、土俵内で一歩も動かずに仕切りや四つの型を確認し、稽古後には入念に氷水で両足を冷やした。

 自宅で療養している間は歩くこともままならない状況だったそうで、一時期はつえも突いていたという。先月30日の「綱打ち」の際に部屋の階段を上るのすら必死だった横綱を見て、師匠の宮城野親方(元幕内・竹葉山)は「治すなら完全に治した方がいい。悪化して次の場所も駄目になることが一番いけない」と休場を示唆していた。だが、本人は出場を諦めていなかった。前日3日に痛み止めを打ち、気持ちは前向きに。この4日間はほぼ自宅で一人で過ごしていたため「久々に人に会ってうれしい。何日かぶりに体を温めて新鮮」と笑顔も浮かべた。

 「出るか出ないかはまだ分からない」と厳しい状況には変わりはない。それでも、今後やれることは全てやる。通常は初日3日前の木曜日に稽古を打ち上げ、金曜日と土曜日は休養することが恒例だが「金、土もやっていきたいという思いはある」と急ピッチで仕上げる方針を示した。早々と休場を決断することは簡単。白鵬が諦めないのは横綱として場所を務めなければならないという責務を感じているからだろう。

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