錦織3回戦進出 20歳新星に苦戦も…中断でコーチと「作戦変えた」

[ 2016年9月3日 05:30 ]

<全米オープン>2回戦を勝利し、ファンの声援に応える錦織圭

全米オープン第4日男子シングルス2回戦

(9月1日 ニューヨーク ビリー・ジーン・キング・ナショナル・テニス・センター)
 男子シングルス2回戦で世界ランキング7位の第6シード、錦織圭(26=日清食品)が若手の挑戦を退けた。4大大会初出場となる世界95位のカレン・ハチャノフ(20=ロシア)に6―4、4―6、6―4、6―3で勝利。20本のサービスエースを浴び、2時間40分の降雨中断もあった長丁場を制した。3回戦では世界42位のニコラ・マユ(34=フランス)と対戦する。女子シングルスで世界80位の奈良くるみ(24=安藤証券)は2回戦で敗れた。

 8年たてば人は変わる、立場も変わる。18歳だった08年大会で第4シードのフェレール(スペイン)に挑み、金星を挙げた全米オープン3回戦。時は移り、今年は錦織が20歳の新鋭を第6シードで迎え撃つ立場だった。

 第1セットを手堅く取ったが、1メートル98の長身から繰り出すハチャノフのサーブが猛威を振るい始めた。「(若い選手は)いつも急に臆することなく打ってくるので簡単ではない。今日も苦しい場面がたくさんあった」。錦織の第1サーブの確率はどんどん低下。弱点の第2サーブに回り込まれ、強烈なフォアでいいように叩かれた。

 出場選手中4番目に若いハチャノフは、これがトップ10との初対戦。失うものは何もなかった。錦織にも思い当たるところはあった。トップ10が特別な存在だった8年前のフェレール戦。映像を見返すと「よくこんなプレーができるなという思い切ったプレーがあった」と感じる試合だった。

 流れを変えかけた第3セットの第8ゲーム終了後に降雨中断も入った。「リズムがつかめてきていたので本当はあのままやりたかった」と残念がったが、長い中断を生かせるのも経験のなせるワザ。「コーチとも話し合って作戦を変えた」と再開後の最初の相手のサービスゲームではリターンの構える位置を後ろに下げた。第2サーブになるとさらに後退。威力のなくなったバウンド後の落ち際を狙い、まずは相手のサーブを返すことに注力。そこからのラリーで仕留めた。このブレークで第3セットを奪い、第4セットも競り勝った。

 第1セット途中ではわざわざタイムアウトを取って目薬をさしてもらった。「ゴミじゃないけど半分目が見えなくなる。たまにボールが見えなくてあまり集中できなかった。最近多い」と症状を説明した。今季はしばしば同様の場面があるが「ジカ熱かも」と笑い飛ばした。若手の勢いを経験でいなし、苦戦の中にもまだ余裕を感じさせた。

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2016年9月3日のニュース