錦織2年ぶり初戦突破“無我の境地”「結果につながるかは神様次第」

[ 2016年9月1日 05:30 ]

1回戦を突破した錦織圭

テニス全米オープン第2日 男子シングルス1回戦 錦織6―1、6―1、3―6、6―3ベッカー

(8月30日 ニューヨーク ビリー・ジーン・キング・ナショナル・テニスセンター)
 男子シングルス1回戦で、世界ランキング7位の第6シード、錦織圭(26=日清食品)が2年ぶりの2回戦進出を決めた。同96位のベンヤミン・ベッカー(35=ドイツ)を6―1、6―1、3―6、6―3で下し、4大大会初制覇に向けて順調に滑り出した。女子シングルス1回戦では奈良くるみ(24=安藤証券)が4年連続の初戦突破を果たした。

 テンションが変わればプレーが変わる。気分が高まってハイテンションだったらいいプレーができるのか。錦織の場合はそうとも言えないらしい。

 前年準優勝の実績を引っ提げて臨んだ昨年は、自分の期待も、周囲の期待も裏切る初戦敗退だった。この日の会見で「全米に関して言えば、去年はプレッシャーがあった。1年前に決勝に行っているということが負担だった」と明かした。

 張り詰めた心境に呼応するように昨年はラケットのテンション(ストリングを張る力)まで異常に高くなっていた。テンションが低ければボールは飛びやすく、高ければ飛びにくい。錦織は気温や天候にも合わせて繊細に調整するタイプだ。しかし、1年前は異常に高い70ポンド台のラケットを試合当日にオーダー。それほど感覚が乱れていた。

 今年は違う。リオ五輪での歴史的な銅メダル獲得の後でも、錦織のテンションに大きな変化はない。直前の大会では3回戦で敗れたことで、全米前に回復の時間も十分に取ることができた。

 試合に向かう心境はこんな感じ。「あまり自分に期待はしてない。ボーっと試合に入っている。あそこまでいきたいとか、結果を出したいとはあまり思っていない」。肩の力は抜け、ラケットのテンションも標準的な50ポンド近辺に収まっている。

 第1セットは3度のブレークに成功し、第2セットもわずか1ゲームしか与えなかった。決定打の数はベッカーの倍以上となる47本を数えた。「内容も悪くなかったし、いい1回戦だった」と暑さで集中力を欠いて、第3セットを落としたのはご愛嬌(あいきょう)と言いたくなるような内容だった。

 「心身ともにしっかり準備できて雑念なく良い形で試合に入れている」と手応えを語りつつも「それが結果につながるかは神様次第」とつれない言葉。テンションは高くない。でもそのぐらいがちょうどいい。

 ▽錦織の昨年の全米オープン 前年準優勝者として第4シードで臨み、過去2戦2勝だった世界41位のペア(フランス)と初戦で対戦。序盤は硬さが目立って第1セットを落としたが、第2、第3セットを奪い返す。第4セットのタイブレークで6―4と2本のマッチポイントを握りながら4連続失点。これを「引きずった」と最終セットも先にブレークを許し4―6、6―3、6―4、6―7、4―6で敗れた。

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