ゆとり世代とリオ五輪の関係は?リオで分かったゆとりの底力

[ 2016年9月1日 08:15 ]

 【藤山健二の独立独歩】「ゆとり世代の皆さん、ごめんなさい」。リオ五輪での日本選手団の活躍を見て、ふとそんな思いが頭に浮かんだ。「ゆとり世代」の明確な定義はないが、一般的には小・中学校の学習指導要領が「ゆとり教育」に改訂された02年度から10年度の間に教育を受けた者を指し、中でも今20~29歳くらいまでが典型的な「ゆとり世代」とされる。今回のメダリストはほとんどがまさにこの「ゆとり世代」なのである。

 これまで「ゆとり世代」は、叱られるとすぐ挫折する、自主性がなくただ指示を待っているだけ、楽をすることしか考えずあきらめが早い、プライベート重視で組織には属したがらない、など短所ばかりが強調されてきた。会社で上司に当たる今の50代は高度成長期に生まれ、バブル全盛期をおう歌してきた人ばかり。考え方も生き方も正反対で、上司たちは新入社員が入ってくると「おまえはゆとりだからな」と端から「ダメ人間」と決めつけてきた。

 確かに「ゆとり教育」の名の下に学習時間が減らされ、その分スポーツに打ち込む環境があったのは事実だ。「勉強の代わりにスポーツをしてただけでしょ」と言われればその通りでもある。だが、スポーツをする時間が増えたとしても、一般的な「ゆとり世代」の定義を当てはめれば「指導者に怒られればすぐやめてしまう。いわれた通りの練習しかしない。あきらめが早く粘りがない」はずで、五輪の大舞台で勝つ要素はまったく見当たらない。それが実際には史上最多41個のメダルを獲得。しかも、女子レスリングやバドミントンなどは絶体絶命の状況から奇跡の大逆転勝ちを収めたのだから、これはもう素直に「今までのゆとり世代への評価は間違っていました」と頭を下げるしかない。

 もともと「ゆとり教育」は詰め込み偏重の教育を改め、経験重視の学習を通して考える力を養い、精神的にゆとりのある人間を育てるということが目的だった。それまでの世代と比べて学習テストの成績が落ちたため「ゆとり」は失敗だったと言われてきたが、実はそうではなかった。「ゆとり世代」は打ち込むものさえ見つかれば、高度成長期やバブル景気をおう歌してきた50代、60代には想像もつかないようなパワーを発揮し、想像もつかないような結果を出す可能性を秘めているのかもしれない。

 バブル世代の私なりの分析は「叱られるとすぐやめてしまう→実は好きなことならとことんやる」「言われたことしかやらない→飲み込み、吸収が早い」「プライベート重視→周囲とのしがらみがなく好きなことに集中できる」「あきらめが早い→好きなことならあきらめない」ということになるのだが、皆さんはどうお考えだろうか。ゆとり世代の皆さんはもちろん、さまざまな年代の方々の意見をぜひお聞かせ願いたい。(編集委員)

 ◆藤山 健二(ふじやま・けんじ)1960年、埼玉県生まれ。早大卒。スポーツ記者歴34年。五輪取材は夏冬合わせて7度、世界陸上やゴルフのマスターズ、全英オープンなど、ほとんどの競技を網羅。ミステリー大好きで、趣味が高じて「富士山の身代金」(95年刊)など自分で執筆も。

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