実りの秋へ、新関脇・高安が食ってかかる

[ 2016年9月1日 09:00 ]

新関脇で秋場所に臨む高安

 【佐藤博之のもう一丁】「1年を20日で暮らすいい男」という川柳は、江戸時代の力士を表したもの。10日間興行が年に2度しかなく、それだけで生活していた関取を皮肉ったものだ。大正時代まで、年2場所の興行形態は続いた。

 「スージョ」と呼ばれる相撲女子の増加などにより、昨今は空前の相撲人気だ。本場所と本場所の間に行われる巡業も、一昔前に比べれば過密日程となっている。8月の夏巡業は一昨年が8日間しかなかったが、昨年は16年ぶりに20日間に及んだ。今年はさらに増え、23日間の開催だった。江戸の力士がタイムスリップしてきたら、ぶったまげてしまうだろう。

 巡業が過密日程になれば、力士が休息できる時間は減る。朝稽古で頑張りすぎれば場所前に疲れを残すことになるだけに、どれくらいのペースでやるのがいいか難しいところだ。そんな中、新関脇で秋場所(11日初日、両国国技館)に臨む26歳の高安(田子ノ浦部屋)は「しっかり稽古ができたし、体のケアもできた」と巡業で手応えをつかんだ様子だ。実際、秋場所番付発表の翌日の8月30日には、綱獲りに挑む大関・稀勢の里との三番稽古でいきなり5連勝するなど、調子のよさをうかがわせた。

 その高安、夏巡業の稽古が実り多きものになっただけでなく、巡業の先々でおいしいものに巡り合ったことで、体も大きく実った。番付発表前の体重測定では、前回より9キロ増えて177キロ。その肉体は、仙台の牛タン、秋田のきりたんぽ鍋、函館の海鮮料理などでボリュームアップした。

 本人は160キロ台がベスト体重と考えているため、本場所までの稽古で減らしたいようだ。だが、170キロ台前半で臨んだ7月の名古屋場所は、体が大きくなった分、立ち合いで当たり勝つことも増え、それが3大関撃破にもつながった。個人的には、しっかり動けるのであれば、175キロ程度で闘うのもいいのではと考えている。

 名古屋場所では小結で11勝を挙げて技能賞を獲得しており、秋場所で2桁勝利なら、11月の九州場所は大関獲りとなる。「もう一つ上を目指して、しっかり準備していきたい」という高安。上位陣もたらふく食って「実りの秋」にできるか。(専門委員)

 ◆佐藤 博之(さとう・ひろゆき)1967年、秋田県大曲市(現大仙市)生まれ。千葉大卒。相撲、格闘技、サッカー、ゴルフなどを担当。スポーツの取材・生観戦だけでなく、休日は演劇や音楽などのライブを見に行くことを楽しみにしている。

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