千代翔馬が新入幕 亡き師匠の教え胸に…「一番一番頑張る」

[ 2016年8月30日 05:30 ]

先代九重親方の銅像の前でガッツポーズの千代翔馬

秋場所、新番付発表

(9月11日初日)
 日本相撲協会は29日、秋場所(9月11日初日、両国国技館)の新番付を発表し、モンゴル出身の千代翔馬(25=九重部屋)が新入幕となった。7月31日に亡くなった先代九重親方(元横綱・千代の富士)の教えを忠実に守り、関取まで39場所を要しながら十両は4場所で通過。新師匠の九重親方(元大関・千代大海)の指導の下でさらに精進し、新入幕での勝ち越しを亡き先代師匠にささげる。

 悲しみに暮れた先代師匠の死から29日。葬儀が営まれた東京都墨田区の九重部屋で、千代翔馬が新入幕会見に臨んだ。新番付を見つめると「字がだいぶ見えるように(大きく)なった。これから大変だと思うが楽しみ」と期待に胸を躍らせた。

 130キロの体重は幕内最軽量。現役時代は120キロ台だった先代師匠に通じるところがある。千代翔馬は体重を増やそうと考えた時期もあったが、先代師匠から「あまり大きくするな。体だけじゃなく頭で相撲を取れ」と助言され、それを忠実に守った。相手の取り口を徹底的に研究して、先手先手で攻める相撲を磨いた。千代の富士のビデオもスマートフォンで繰り返し見て参考にし、幕内の座をつかみ取った。

 新入幕力士は大きな目標を口にすることが多いが、千代翔馬は「一番一番頑張っていきたい。まずは幕内定着。勝ち越したい」と現実的だった。それも「目標は最初の1つができたら、また1つ。1ができなくて2はできない」という先代師匠の言葉が頭にあるからだ。「相撲だけでなく人生でも勉強になることを言われた」。もうアドバイスはもらえないが、これまでの教えを守り、一力士として、一人の人間として、さらなる成長を目指していく。

 この日の会見に同席した新九重親方にとっても、これからが本当の勝負となる。「(6人の関取ら)素晴らしい財産を残していただいた。今度は僕らが分かりやすく伝えていかないと」と力を込めた。悲しみを乗り越えて臨む秋場所。新入幕の千代翔馬をはじめとする力士たちが、結果を出すことが、亡き先代師匠への最大の恩返しとなる。

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