東京五輪 開催国枠の予選免除、求められる強化戦略 長野五輪では最下位も…

[ 2016年8月25日 11:26 ]

五輪旗を手に帰国した小池都知事

 【リオ五輪成果と課題】母国で開催される五輪には、ホームの利があるということは数字が証明している。64年東京五輪で獲得した金メダル16個は今も04年アテネと並ぶ日本の最多記録。72年札幌五輪では冬季初の金メダリストが誕生した。98年の長野五輪は冬季史上最多のメダル10個を獲得。いずれも競技施設利用による“慣れ”などが活躍の一端を支えたとされる。

 その一方で競技団体が頭を悩ませるのが、開催国枠による五輪出場だ。厳しい予選を経ずに五輪出場が決まることは悪いことではない。だが、チームづくりに欠かせない厳しい勝負の舞台が失われることで、競技力向上に不安を抱えるケースもある。長野五輪のアイスホッケーの場合、男子は1次リーグ未勝利で、最終的には14チーム中13位。この大会で初実施となった女子は5戦全敗で、最下位に沈んでいる。

 20年東京でその危機感を抱くのは、リオに出場できなかった男子のバスケットボールやホッケー、男女ハンドボールなどだろう。国際大会での実績が著しく不足しているため、国際バスケットボール連盟が開催枠を適用するかどうか不透明な男子バスケの場合、リオ期間中に米国の大学チームを招へいし強化試合を行うなど、すでに本格的な強化に乗り出している。今後はどの球技も海外遠征などで高いレベルのチームと対戦し、戦力を磨き上げていく必要がある。

 もちろん、個人種目の場合も地元五輪特有の苦悩はある。前年の世界選手権で早々と五輪代表内定を出すケースはこれまでも見られたが、20年東京はそれ以上に注目される大会。「1年以上前から代表に決まれば、取材や地元の期待などが増え、重圧が増すのでは」と話す競技団体関係者もいる。五輪本場に向け集中してコンディションづくりを行う方がいいのか、それとも直前の代表選考会で最も勢いに乗る選手を選ぶ方がいいのか。競技団体の関係者も頭を悩ますことになる。

 国策としての「スポーツ立国」が打ち出され、リオは一定の成果が見えた。20年東京はその後のスポーツ界の方向性を決定づける舞台だけに、大胆かつ繊細な戦略が求められる。

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2016年8月25日のニュース