女子58キロ級・伊調馨 女子史上初4連覇へ王手!

[ 2016年8月18日 05:30 ]

女子58キロ級初戦を突破した伊調

リオデジャネイロ五輪レスリング・フリースタイル女子58kg級

(8月17日 カリオカアリーナ)
 女子フリースタイル58キロ級の伊調馨(32=ALSOK)が17日、準決勝でユリヤ・ラトケビッチ(アゼルバイジャン)をテクニカルフォール勝ちで下し、五輪4連覇に王手をかけた。全競技を通じて個人種目の五輪4連覇は男子4人が達成しているが、女子では史上初の快挙となる。また、ともに初五輪となった同48キロ級の登坂絵莉(22=東新住建)、同69キロ級の土性(どしょう)沙羅(21=至学館大)も決勝進出を決め、日本勢のトリプルメダルが確定した。

 長年、女子レスリング界を一緒にけん引してきた吉田沙保里よりも1日早く、五輪史上初の快挙に王手をかけた。準決勝のラトケビッチ戦、第1ピリオド2分すぎにバックに回って4―0とすると、さらにアンクルホールドを一気に3回重ねてテクニカルフォール勝ち。3―1と小差の勝利だった3回戦から一転、納得の内容だったのか、伊調は口元を引き締めたまま大きくうなずいた。

 4度目の五輪イヤーは嵐の幕開けだった。1月のロシアの大会で、モンゴルの若手プレプドルジにまさかのテクニカルフォール負け。03年3月以来、負けなしだった女王の13年ぶりの黒星で、連勝は189でストップした。「あんな自分は初めてだったし、あんな自分もいるんだとビックリもしている」。リオに向けて暗雲漂う結果だった。

 その試合では、相手をフェイントで動かしてから攻める高度な駆け引きを試していた。男子と練習を重ねる中で気づいた戦術だったが勝負へのこだわりを忘れていた。

 リオ入り後の14日に行われた会見では、すでに気持ちの整理をつけていた。「自分のレスリングを追求してきた結果なので(負けたことは)全く気にかけていない。今回はリオ五輪に向けて調整してきた。その中で敗戦が実ったといえる試合ができれば」。普段は内容を追求する女王が、五輪では勝利にこだわる姿勢を示した。慎重な戦いぶりは、頂点を目指すからこそだった。

 14年11月28日に、最愛の母トシさん(享年65)を突然亡くした。以来、自室には母の遺影を置き、「おはよう」「ただいま」など、毎日何げないことを語りかけている。天国で見守る母へ4連覇の報告をする。その時まで、あと1勝に迫った。

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