倉嶋監督の人心掌握術 快進撃は「監督がソファで寝ているおかげ」!?

[ 2016年8月17日 07:17 ]

決勝進出を決め、メダルを確定させた卓球男子団体の(左から)丹羽、吉村、水谷、倉嶋監督

リオデジャネイロ五輪卓球男子団体準決勝

(8月15日 リオ中央体育館パビリオン3)
 3人の天才を束ねるのが倉嶋洋介監督(40)だ。今大会はこの3人とともにマンション形式の選手村宿舎で共同生活。寝室は2人で一部屋のため、吉村と丹羽を一緒にし、「せめて水谷だけでも」と自身はキッチンにあるソファで寝起きしている。気さくな人柄で兄貴分的役割も演じる。「監督がソファで寝ているおかげ」という冗談が選手のリオでの口癖だ。

 07年以降の全日本選手権はこの3人が優勝している。「これで負けたらしようがない。日本が誇る天才3人が扉を開いてくれた」とねぎらった。

 前夜は全員で女子団体戦をテレビ観戦。勝負の怖さを改めて痛感した。「ちょっとした流れで試合がガラリと変わる。準決勝はリードしていても気を引き締めさせた」という。

 現役時代は全日本選手権のダブルスを制した。12年ロンドン五輪後にコーチから昇格して代表監督に就任。以後、欠かさずにしていることがある。世界大会の前には必ず「モチベーションビデオ」と呼ばれる士気を高める動画を制作。リオではスタッフがつくったものを6日夜に上映した。

 「ロンドンの団体戦で負けた香港戦のシーンから入って、練習風景などの4年間の頑張りを振り返り、最後は男子初のメダルを獲得して締めるという流れでした」。描いた通りの快挙。3月の世界選手権団体戦(マレーシア)でも39年ぶりの決勝進出に導いた。人心掌握に優れた倉嶋流の指導が新しい歴史をつくった。

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2016年8月17日のニュース