【世界のアスリート】機敏な“ヘビー級ダイバー”世界を驚かす

[ 2016年8月17日 13:15 ]

準決勝進出を決めたナイトウィズダム(AP)

リオデジャネイロ五輪男子板飛び込み

(8月15日)
 かつて日本で放送された投資系バラエティー番組「マネーの虎」は多くの国でリメークされた。英国では「ドラゴンズ・デン」。その番組に出演したレゲエ歌手、リーバイ・ルーツ(58)が提案したエスニックな「レゲエ・レゲエ・ソース」は見事に資金を引き寄せ、1週間で5万本も売れる人気商品になった。

 ルーツはその収益をスポーツに注ぐ。自分と同じ英国在住で母国ジャマイカ出身のアスリートはいないだろうか…。そしてその目に留まったのが父がジャマイカ出身、母がバルバドス出身で、しかも英国代表にはなれそうになかったヨナ・ナイトウィズダム(21)だった。1メートル91、90キロ。陸上男子100メートルで3連覇を果たしたウサイン・ボルト(29)にも体格で劣っていない。ただし彼はスプリンターではなかった。

 ジャマイカ国籍を選択してリオ五輪の代表となったナイトウィズダムは「自分が陸上選手ではないと言うとみんなびっくりするんだ」と自己紹介の時にはいつも苦笑い。15日、固定観念を持っていると「ありえない」と感じてしまう男子板飛び込みの予選に出場し、11位で準決勝に進出した。

 五輪の男子板飛び込みにカリブ海諸国の代表が出場したのは史上初めて。水しぶきを最小限に抑え、かつ空中での動作を機敏にするには小柄な方が有利なはずだが「クリーンなスプラッシュ(入水)は得意なんだ」と最後の「前宙返り3回半えび型」もきちんと決めた。

 出場した残り27選手の平均サイズは1メートル72、71キロ。ただ一人の“ヘビー級ダイバー”は高さ3メートルの板から宙に舞い上がったあと、ボルトとは違った形で世界を驚かせた。

 ◆ヨナ・ナイトウィズダム 1995年5月12日生まれ、英国リーズ出身の21歳。9歳から飛び込みを始め、14年の英連邦大会の板飛び込みでは1メートルで5位、3メートルで11位。今年のW杯では2位に入った。リーズ・ベケット大の学生。1メートル91、90キロ。

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