福原愛 届かなかった個人メダルに…「うれしさは全くない」

[ 2016年8月12日 05:30 ]

3位決定戦でキムに敗れ銅メダルを逃した福原

リオデジャネイロ五輪卓球・女子シングルス3位決定戦 福原愛1―4キム・ソンイ

(8月10日 リオ中央体育館)
 女子シングルスの福原愛(27=ANA)は3位決定戦でキム・ソンイ(22=北朝鮮)に敗れ、日本卓球界初となる個人種目のメダルを逃した。準決勝では前回王者の李暁霞(28=中国)に0―4で完敗。初戦から3戦連続ストレート勝ちの快進撃を見せたものの、メダルがかかった終盤に失速した。昨年の世界選手権で優勝した丁寧(26=中国)が初優勝した。福原ら日本チームは12日(日本時間13日未明)の団体戦1回戦でポーランドと当たる。

 神がかっていた準々決勝までのパフォーマンスが姿を消した。強打もつっつきも、ネットによくかかった。3位決定戦。“最後の1球”は無情。苦し紛れに返した相手のボールが、台の端っこに当たって急角度で床に落ちた。福原はキム・ソンイに1―4の完敗でメダルを逃した。

 「強い選手がいる中でヨンゼロで勝ってきたことは大きな自信になったけど、オリンピックはメダルを獲らないと全く意味がない。悔しさが大きい。うれしさとかは全くありません」。

 涙が乾いた後の顔は自分に対するいら立ちが表れていた。さかのぼること9時間前。準決勝で前回覇者、李暁霞に0―4で大敗。完膚なきまでに叩きのめされた。失意を打ち消すべく、長い3位決定戦までの間に「ビデオを見て研究した」と初対戦となるカット型選手の攻略の糸口を探った。だが、実際に向き合うと「思い切って戦ってきた」と想定以上の強打に慌てた。石川が初戦で敗れた北朝鮮の刺客に、福原までもがのみ込まれた。

 3歳から1000球連続のラリーを母・千代さんとこなした。天才少女と騒がれた。人気と実力で、プロ選手として活動する女性の先駆者になった。石川も伊藤も福原が切り開いた道を歩んでいる。女子代表の村上恭和監督の言葉がそれを物語る。

 「今ある卓球界は福原がつくったもの。スポンサーを付けて個人として競技に専念できる環境を整えた」。

 その功績にふさわしい勲章に、4度目の五輪で最も接近した。戦ったコートの隣には表彰台が置かれていた。すぐ近くまで来たのに、届かなかった。残すは12日からの団体戦。「3人で力を合わせて絶対にメダルを持って帰りたい」。もう涙は見せない。

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