“守り”の永瀬&“足技”の田代 本来の柔道できず…東京でリベンジ

[ 2016年8月10日 05:30 ]

3位決定戦でジョージアのチリキシビリを下した永瀬

リオデジャネイロ五輪柔道

(8月9日 カリオカアリーナ)
 【金野潤の目】永瀬は初戦から硬さがあり、本来の柔道ができなかった。腰が引けて守りから入っていた印象で、その分、技を出すのが遅くなった。

 永瀬の最大の特長は、天性の重心移動を使った間合いの感覚。通常よりやや後ろに重心を置き、その重心を自在に動かすため、懐が深い。相手にとっては、永瀬の体の前に板がある感覚で、内股や大外刈りで投げられるのを見たことがない。

 その受け(守り)が強い永瀬が、準々決勝では袖釣り込み腰で有効を奪われた。気持ちが前に出ていない分、相手の攻めを防ぎきれず、板の内側にトマを入れてしまった。有効を奪われた後も勝負に出ず、淡々と試合を終えてしまった。

 その後の2試合は、本来の柔道をした。3位決定戦は、強豪チリキシビリ戦だったが、全く危なげない試合で勝った。最初からこの柔道をできれば、金メダルを獲れたはずだ。緊張や重圧という言葉で片付けてはいけないが、体を動かすのは気持ちだとすれば、金メダルのための勝負度胸が足りなかった。

 女子の田代は、チグハグな一日だった。本来はしっかり組んで足技で攻める柔道だが初戦から気負っている感じがあり、3位決定戦を含めて、間合いを詰めて強引に攻める場面が多かった。

 逆にヤマだった準決勝は強引さがなかった。アグベニェヌには完敗することが多かったが、研究の成果で相手の持ち味を消していた。強引に攻める気持ちがあれば、指導1で敗れるという結果にはならなかっただろう。

 金メダルには届かなかったが、2人ともまだ若い。今回の苦い経験を糧にして、東京を目指してほしい。(94、97年全日本選手権王者、日大男子監督、文理学部准教授)

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