体操団体 5人の個性で掴んだ金 “修正力”が最大の勝因

[ 2016年8月10日 09:45 ]

<体操・男子団体決勝>優勝し、日の丸を手に歓喜の(左から)森泉コーチ、加藤、白井、内村、山室、加藤コーチ

リオデジャネイロ五輪体操・男子団体総合決勝

(8月8日 リオ五輪アリーナ)
 【立花泰則の目】日本が念願の金メダルを手にすることができた最大の要因は「修正力」だと思う。最初のあん馬で山室が落下するミスを犯したが、すぐに気持ちを入れ替えてその後の演技をしっかりまとめ、悪い流れになりそうなところを最小限の傷口で食い止めた。その後も小さなミスはあったが、その都度修正して流れを日本に引き戻した。普段から我慢強く質の高い練習をしているからこその修正力だったと思う。

 それにしても5人それぞれが持ち味を生かした素晴らしい演技をしてくれた。内村は日本のエースとして、試合だけでなく練習の時からチームメートを引っ張っていた。努力という一言では片付けられない姿勢を示してくれていた。予選、決勝とも6種目の出場は本当に厳しかったと思う。ただ単に肉体を使っているだけではなく、脳の思考回路をフル稼働させながら体を使うのは本当に疲れる。体と精神力、そしてすべての五感を駆使し、強い意志でチームを見事にまとめて引っ張っていってくれた。

 加藤は国内最終合宿であまり調子が良くなかった。それでもきちんと自分を見つめ、しっかり競技会から逆算してピークをつくりきった。頼れるリードオフマンで中堅もできる。団体金メダルを目指すこのチームになくてはならない存在だった。
 田中は予選の時から自分の感覚と実際の技さばきとの間に誤差があったと思うが、決勝ではそれをきちんと修正して自分の持ち味を発揮し、役割を果たしてくれた。

 そして白井だ。床運動と跳馬の2種目のエースとしてチームを支えてくれた。これからこの2種目を武器に個人総合の力をつけてオールラウンダーに成長していくだろう。

 ロンドンからいろいろなことがあったが、最終的にはリオに懸ける全員の強い意志と、その意志に裏付けられた不断の努力でもぎ取った団体金メダルだった。(ロンドン五輪男子代表監督)

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2016年8月10日のニュース