高藤 3位決定戦制し「胸を張って」銅 東京五輪での金誓う

[ 2016年8月8日 05:30 ]

銅メダルを獲得した高藤

リオデジャネイロ五輪柔道男子60キロ級

(8月6日 カリオカアリーナ)
 男子60キロ級の高藤直寿(23=パーク24)は準々決勝で敗れたものの、敗者復活戦を勝ち上がって近藤に続く銅メダル。日本の夏季五輪通算400号メダルとなった。

 メダリスト会見を終えて帰路に就こうとする高藤は、誰に尋ねるでもなくつぶやいた。「銅メダルじゃダメなの?」。きっとダメじゃない。称えてくれる人はたくさんいるはずだ。しかし、そう言った高藤の表情こそが、誰より銅メダルに満足していなかった。

 初戦の2回戦は1分余り、3回戦もわずか16秒で一本勝ちした。ところが「完璧」「絶好調」の中に落とし穴があった。「攻めに徹しすぎた。攻めと慎重さのバランスがかみ合わなかった」。パピナシビリ(ジョージア)との準々決勝。相手が得意とする接近戦に応じる中で、腕をたぐられ、背中越しに帯をつかまれた。その瞬間、体が浮いた。畳に落ちた高藤に待っていたのは一本の宣告だった。

 リオで行われた3年前の世界選手権で王者に輝き、特に海外勢に対しては抜群の強さを誇ってきた。金メダルの最右翼として臨んだ今大会。「自分の中で(五輪は)もっと凄くでかいものだとつくり上げてしまった」。巨大なものに立ち向かおうとするあまり、必要以上に前がかりになった。それがわずかな隙を生んだ。

 敗者復活戦、3位決定戦は粉々になった気持ちを拾い集め、何とか僅差の勝利をものにした。「これが今の自分の強さだと思って胸を張って帰りたい」。表彰式では悔しさを胸に秘め、あえて笑顔をつくった。「応援してくれた人たちに何かを持って帰らなきゃと執念を出せた。感謝を込めて、情けない顔しないで堂々としていようと思った」。それは4年後に向けた決意の表れでもある。「金メダルを獲ったらやめようと思ってた。でもやめられなくなった」。金メダルを求め、求められるのが日本柔道。やはり銅メダルで満足はしていなかった。

 ◆高藤 直寿(たかとう・なおひさ)1993年(平5)5月30日生まれ、栃木県下野市出身の23歳。神奈川・東海大相模中から東海大相模高に進み、全国高校総体を11年まで2連覇。11年世界ジュニア選手権制覇。13年にリオデジャネイロで行われた世界選手権に初出場初優勝。東海大を卒業し、今春からパーク24に入社。14年6月に元強化選手の志津香夫人(27)と結婚し、同年10月に長男・登喜寿君が生まれた。得意は小内刈り。左組み。1メートル60。

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