新・九重親方 ウルフ魂継承「1年前に“次はおまえが”と言われていた」

[ 2016年8月7日 05:30 ]

師匠について語る「新・九重親方」

 7月31日にすい臓がんで死去した元横綱・千代の富士=本名・秋元貢さん=(享年61)の通夜が6日、東京都墨田区の九重部屋で営まれ、2000人を超える関係者やファンが参列した。当初は関係者のみの参列が予定されていたが、急きょ一般ファンも祭壇の前で焼香することが可能となるなど最後まで国民的スターであり続けた“ウルフ”。7日午後0時30分から同所で葬儀・告別式が営まれる。

 現役時代に31度の優勝を果たした“ウルフ”は遺影の中でほほ笑みを浮かべ、2000人を超える通夜の参列者を迎え入れた。雑誌の企画で09年に両国国技館で撮影されたスーツ姿の写真。「親方が指導していた眺めからお別れしたい」という遺族の意向もあり、祭壇は親方自身が一から作り上げた九重部屋の稽古場に設けられた。

 国民に愛され続けた大横綱・千代の富士らしい通夜となった。当初は親族や関係者のみが参列する密葬の形で行われる予定だったが、故人の“遺志”をくみ取り、急きょ一般ファンも部屋の中に入って祭壇の前で焼香が可能に。関係者ら約2000人に加え、最後は100人以上のファンが大横綱が眠る棺の前で哀悼の意をささげた。

 師匠亡き後の部屋を継承した元大関・千代大海の九重親方は通夜を終え「寂しいし、言葉がない。悲しいし、悔しい。もっといろいろと話したかった」と悲しみに暮れた。それでも「1年前に“次はおまえが引っ張っていけ”と言われていた。名門のプレッシャーはありますが、頑張りたい」と、今後は自らが師匠として千代の富士魂を受け継ぐことを誓った。

 戒名は家族思いの親方らしいものになった。「千久院殿金剛貢力優梢禅大居士(せんきゅういんでんこんごうこうりきゆうしょうぜんだいこじ)」。千代の富士の「千」や力士人生を表現した「力」に加え、久美子夫人、長男・剛さん、長女・優さん、次女・梢の家族全員の名前の文字が入れられた。きょう7日の告別式後には霊きゅう車が思い出の詰まった両国国技館を通る予定となっている。

 ▼千代の富士の主な成績 1970年秋場所初土俵。1045勝437敗159休。優勝31回は歴代3位。三賞は殊勲1、敢闘1、技能5。金星は3個で、三重ノ海(2個)、2代目・若乃花から奪取

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