柔道リオ初練習いきなり停電も…高藤&近藤 ニッポン照らす光に

[ 2016年8月3日 05:30 ]

停電の中、走り込みをする松本(手前)ら日本代表の選手

リオ五輪

(8月5日開幕)
 リオデジャネイロ五輪柔道日本代表の男女5選手がいきなりの停電トラブルに見舞われた。1日にリオデジャネイロ入りし、練習場がある日本スポーツ振興センター運営の支援拠点「ハイパフォーマンスサポートセンター」(HPSC)で早速始動。ところが地域一帯の停電によって、約2時間の練習のほとんどは暗がりの中で行われた。いきなりリオの洗礼を浴びたものの、経験豊富な代表選手は動じることなく調整練習に励んだ。

 練習場はなんとも暗かった。晴れ舞台に臨む選手たちの雰囲気の話ではない。実際に視界が暗いのだ。地域一帯の停電のため窓から差し込む日の光だけが頼り。薄暗い畳の上で選手たちは黙々と汗を流した。

 この日は軽量級の男女5選手が午前7時すぎに現地に到着した。時差調整も兼ねて、選手村に荷物を置くとすぐに午後から練習開始。そこで停電が待っていた。8億1000万円もの事業費をかけたHPSCとしては何とも初歩的なトラブル。お先真っ暗?と不吉にも思いそうなものだが、男子代表の井上康生監督は「いろんなことが起こる。13年もバスのことがあった」と笑い飛ばした。

 3年前にリオで行われた世界選手権では、移動のバスが街路樹に突っ込み、窓ガラスが割れた。昨年5月のリオ合宿でも大量のロストバゲージがあり、大半の選手が道着やパンツまで現地調達する羽目になった。

 「当たり前のことを当たり前にするだけ」と五輪に向けた心構えを説く井上監督。これぐらいの事態は当たり前と思えるように、4年間で準備を重ねてきた。男子60キロ級代表の高藤直寿(23=パーク24)は停電で湯船に漬かれなくなったことを残念がりつつも、すぐに切り替えて施設内のプールで体を癒やした。それも経験からだ。

 その高藤は女子の近藤亜美(21=三井住友海上)とともに、開会式翌日の6日に先陣を切る。井上監督は「歴史を振り返っても、初日に金を獲ることが柔道界、スポーツ界に良い流れを生んでいる」と期待を込めた。好スタートは柔道だけでなく、日本選手団にも勢いを与える。男女合わせてわずか金メダル1つとお先真っ暗の結果だった前回ロンドン五輪から4年。練習場には最後に電気がついた。同じように日本柔道にも明かりのともる瞬間が、間もなくやってくるはずだ。

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