“トリック王子”白井 10代メダル俺も!スケボー採用心待ち

[ 2016年7月24日 11:43 ]

巧みにスケートボードを操る白井

 2020年の東京五輪開幕まで24日であと4年。来月のIOC総会で追加種目としての正式採用を待つスケートボード界には、14歳のプロスケーターがいる。白井空良(14=相模原中央中)。憧れの存在は14年ソチ五輪スノーボードハーフパイプ銀メダリストの平野歩夢(17=バートン)だ。18歳で迎える五輪。白井も10代のメダリストとなるべく、技を磨いていく。

 ソチで華麗に舞った銀メダリストは、15歳だった。「格好いい」。12歳の白井は、テレビの画面に見入った。当時の様子について、母の三佳さん(43)は言う。「憧れのまなざしでした。同じ“横乗り”で世界のトップに立てるなんて、思ってもなかったと思いますから」。初めて五輪を意識した瞬間だった。

 スケートボードを始めたのは5歳の時。父・太郎さん(49)の誘いでのめり込んだ。小学校に入ると、海老名市のスケートパーク「X―DOME」まで片道40分、母の送り迎えで毎日通った。中1のAJSAアマチュア選手権で2位に入り、13歳でプロになった。

 代名詞は「ガゼルフリップ」。体を1回転させながら、ボードも縦と横に回転させる。ぶれない体の軸と正確さが求められる技だ。AJSA全日本チャンピオンに3度輝いた才哲治さん(38)は「あのトリック(技)であの完成度はめったにない。世界でもあまり見かけない」と実力を高く評価する。

 スノーボードの平野は五輪でメダルを獲得することで競技を世に知らしめた。「スケボーを知らない人たちが知ってくれる機会になる」。五輪の追加種目に決まれば白井も思い描く道筋は重なる。「“自然”な名前がいい」と、両親から空良(そら)と名付けられた14歳は4年後、TOKYOの夏空に羽ばたく。

 ◆白井 空良(しらい・そら)2001年(平13)11月3日、神奈川県相模原市生まれの14歳。5歳からスケートボードを始める。14年AJSA全日本アマチュア選手権2位でプロ入り。15年AJSAで5位。今年5月の小山カップで半年前から練習を始めた「ガゼルフリップ」を成功させた。スケートボード界ではTrent McClungを尊敬。家族は両親と姉。1メートル63、48キロ。

 ▽スケートボード 東京五輪に向けて、街にある手すりや階段を模した障害物を乗り越えながら技を競う「ストリート」、半球の内側を滑って技を繰り出す「パーク」の2種目が追加提案された。日本では25万人以上の人口がいる。うち競技者は約1万人で、AJSAのプロ有資格者は現在約100人。五輪開催を見込み、今秋には日本選手権が開催され、国内初となる強化選手が決まる。なお、白井は24日に東京都渋谷区宮下公園で行われる「The Session Shibuya 2016」の国際大会に出場する予定。

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