時松「野球グリップ」で10バーディー 自己ベスト63で奪首

[ 2016年7月24日 05:30 ]

18番、ティーショットを放つ時松

男子ゴルフツアー ダンロップ・スリクソン福島オープン第3日

(7月23日 福島県西白河郡西郷村 グランディ那須白河ゴルフクラブ=6961ヤード、パー72)
 2位から出た時松隆光(22=筑紫ケ丘GC)が10バーディー、1ボギーで回り、自己ベストを1打更新し、コースレコードに並ぶ63をマーク。通算21アンダーとし単独首位に立った。5打差のリードで臨む最終日にツアー初優勝を懸ける。逃げ切ればチャレンジツアー優勝者の資格で出場した選手として史上初の勝利となる。

 自分でも信じられないほどショットがピンに絡んだ。4番パー5で第3打を1メートルに付けて時松のリミッターが外れた。9番は第2打をピン10センチに止めるなど、前半だけで5バーディー。後半も12番から自身初の5連続バーディー。自己最多を1つ更新する10バーディーは全てショットを3メートル以内に付けて奪った。

 「後半は自分が思っている以上にうまくいきすぎて(訳が)分からなくなった」。困惑するほど絶好調のプレーで自己ベストの63をマークした。

 幼くして心臓病を患い「3歳か4歳の時に手術した」。高校3年時までは年1回の定期検査が欠かせなかった。幸い運動制限はなかった。5歳の時「健康のため」に自宅近くの練習場「桜美ゴルフハウス」に入門。今でも師事するトップアマ篠塚武久コーチ(71)から当時教わったのが野球のバットを握るように10本の指で握る「ベースボール・グリップ」だ。

 「指や体に負担がかからない。指を痛めないから長くゴルフをやれると思う」。野球経験はないが、アマ時代はこの珍しいグリップで九州の頂点に立った。プロ転向後、先輩からオーバーラッピング・グリップなどに変えることを勧められたが「(他のグリップでは)曲がるし(まともに)当たらないから、このグリップのまま」だという。これだけバーディーを量産できるのだからもう変える必要はないだろう。

 プロ5年目で、13年関西オープンの5位が最高成績。シード獲得の経験はない。昨季は賞金ランキング112位。これが今季2戦目で、今月上旬にチャレンジツアーで優勝して出場資格を得た今大会で初勝利の好機が来た。5打差リードにも「“(相手が)バーディー、(自分が)ボギー”が2回あったら1打差なので」と安心はしていない。「気負わずにいきたい」と心を静めた。

 ◆時松 隆光(ときまつ・りゅうこう)1993年(平5)9月7日、福岡県出身の22歳。5歳の時に福岡市の練習場「桜美ゴルフハウス」でゴルフを始める。沖学園高出。11年九州アマ選手権優勝。12年プロ転向。同年「プロで活躍できるから」という知り合いの僧侶の勧めで、本名の源蔵(げんぞう)から改名した。生涯獲得賞金は1897万3910円。1メートル68、75キロ。

 ▼グリップの握り方 右手の小指を左手の人さし指と中指の間に乗せる握り方が「オーバーラッピング・グリップ」。最も基本的でプロにも多い。右手の小指を左手の人さし指と絡める握り方が「インターロッキング・グリップ」。右手の力を使いやすいとされ、タイガー・ウッズ、松山英樹、石川遼らはこの握り方。両手を重ねず、野球のバットを握るような握り方が「ベースボール・グリップ」。10本の指で握るため「テンフィンガー・グリップ」とも呼ばれる。プロでは珍しい。

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2016年7月24日のニュース